EMCジャパン、運用管理製品「Ionix」の事業を強化~クラウドの一元管理基盤に


テクニカル・コンサルティング本部 プロダクト・ソリューションズ統括部長の糸賀誠氏

 EMCジャパン株式会社は16日、統合運用管理ソフト「EMC Ionix」製品群の事業強化を発表した。VMwareとの連携により、クラウド環境の一元管理基盤としての運用に対応。また、国内SI企業との構築・保守支援体制を強化するほか、クラウド運用管理コンソーシアムの設立にも取り組むという。

 仮想化ソフト・環境の導入は、まず統合から始まっており、「この段階では、これまでの運用管理ツールでどうにか管理できた」(テクニカル・コンサルティング本部 プロダクト・ソリューションズ統括部長の糸賀誠氏)という。

 しかし、その次のフェーズとして、単なる統合から、リソースを共通化して柔軟に引き出せるようにする“プール化”に進化している現在では、「物理的なハードウェアと、仮想サーバーやOS、アプリケーションの構成が動的に変化するようになっており、こうした環境ではこれまでの運用管理では難しくなっている」(糸賀氏)のが現状。

従来の運用管理手法・製品では、リソースのプール化が進む時代の運用管理に対応しきれなくなっているという
Ionixの特徴

 仮想化時代以前は、1つのハコに1つのOS、1つのアプリケーションという構成が多かったため、このハードウェアで障害が起こったらどのアプリケーションに影響するかが、容易に調べられた。しかし、複数のハードウェアの上で複数のOSが動き、さらにその中でアプリケーションが動作するといった構成の場合は、障害原因の追究を従来の手法で行うには、もう限界がきているのだという。

 こうした状況に対応すべく、EMCジャパンが注力しているIonixは、50以上の製品で構成される統合運用管理ソフトの製品群で、米EMCが買収したSmartsを中核に、7社の製品を統合する形で2009年にブランド化されている。

 その特徴は、「可視化」「分析」「自動化」の大きく3つで、まず「可視化」では、各ITリソースの依存関係を検出し、個々のITインフラとサービスとの関係を可視化することが可能。「分析」では、障害発生時に、その根本原因がどこにあるのか、ビジネスにどういった影響があるかを把握することができる。

 さらに「自動化」では、サーバー、ネットワーク、ストレージといった構成要素をまとめ、サービスリソースとしてまとめてプロビジョニングをしたり、変更管理を行ったりできることから、変更に伴うリスク、コストの削減が可能になっている。

 こうした特徴が評価され、ワールドワイドでは米Microsoft、米AT&Tを始めとする複数の著名企業に導入されているほか、国内でも複数の導入事例があり、「例えば、ある金融業のお客さまでは、障害特定に利用され、ITリソースを増員せずに、倍以上のシステムに対応可能になった」といった効果を上げてきた。

 それでも、どちらかといえば徐々に導入されてきたという印象があったとのことだが、「今年に入ってから仮想化・クラウド化が進展し、ユーザーからの問い合わせが増えている。機が熟したタイミングと考えて、体制を整え、戦略的なビジネスを展開したい」(糸賀氏)との意図で、今回、3つの取り組みによる事業強化を発表した。

 まず、ワールドワイドでは、子会社のVMwareにアプリケーション管理、サービス管理分野の7製品を移管。VMware vCenterでシームレスに物理・仮想の両環境を管理できるようにする。「VMwareが強いアプリケーションより上の領域を担当させ、当社はもともと強いインフラ管理に注力するのが狙いで、vCenterへの統合メリットは大きい」と説明した糸賀氏は、販売については、VMwareの担当領域を含めて、トータルにEMCジャパンから提供していくとした。

 2つ目は、国内における販売パートナーの強化で、これまではNEC、CTC、ユニアデックスの3社に絞っていたパートナーについて、ユーザーニーズの高まりを受けて、10社以上への拡大を図る。今回は、新規のパートナーとしてネットワンシステムズが発表された。

VMwareとの連携により、仮想・物理両環境のシームレスな運用管理を行えるようにするパートナー販売の強化を図る

クラウド運用管理分野での活動・発信の強化も強化する

 3つ目は、クラウド運用管理分野での活動・発信の強化。「運用管理の問題点にお客さまが気付き始めた。このタイミングで、お客さま、パートナーと一緒に、問題の洗い出しや解決策の提案をやっていきたい」(糸賀氏)考えのもと、2011年には、クラウド運用管理のコンソーシアムの設立を目指す。

 「当社では、2011年はクラウド運用管理の元年になるのではないか。問題が顕在してくるタイミングで、2011年から翌年にかけて、クラウドの運用管理が注目されてくるあろう。市場への働きかけを強めていきたい。2011年末までに、Ionix製品群をベースとした一元運用管理基盤の新規導入企業30社を目指していく」(糸賀氏)。

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