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Watsonを活用したハッカソン、最優秀賞はメディアマートの「心臓MRI自動診断支援サービス」

 ソフトバンク株式会社と日本アイ・ビー・エム株式会社(日本IBM)は10日、「第2回 IBM Watson 日本語版ハッカソン」決勝戦を開催した。2月の予選を経て決勝に進出したチームは5組。最優秀賞となるWatson賞は、メディアマートの医療・ヘルスケアサービス「心臓MRI自動診断支援サービス」が受賞した。

Watson賞を受賞したメディアマート(右から2番目が代表取締役会長兼社長の多田慶太氏)と、審査員のソフトバンク 常務執行役員 法人事業副統括 佐藤貞弘氏(右端)

 同イベントは、「IBM Watson日本語版を活用し、われわれの暮らしを豊かにするサービスをハックしよう」をテーマに、これまでにないサービスや不便だったサービスの改善などを提案するというもの。開発には、Watson APIが搭載されたクラウド開発基盤「IBM Bluemix」を使用、参加者らは「人々の生活を豊かにする」ことを基準として開発にあたった。

 Watson賞を勝ち取った心臓MRI自動診断支援サービスは、日本人の死亡者数2位である心疾患と、3位である脳血管疾患の2つの死因を減少させるためのもの。MRI自体はすでに全国1500施設に設置されているため、心臓MRIで事前に異常を発見することができれば突然死を防ぐことも可能となる。

 しかし課題は、画像診断できる医師や技師が不足していることだ。

 そこでメディアマートでは、心臓画像診断の専門家と協力、Watsonに診断方法を学習させた。「このサービスを活用すれば、MRIという患者に負担の少ない手法を使い、突然死のリスクを軽減できる。また、医療機関の生産性も大幅に改善できる」(メディアマート)としている。

 ビジネスモデルとしては、MRI診断の医師や技師に向けたトレーニングサービスを1回10万円で提供、初年度に5000万円の売上を目指すことや、専門医がいない施設に対し診断支援サービスを1回1万円で提供することにより初年度1億円の売上を上げることなどを想定しているという。

 Watson賞の受賞にあたり、メディアマート 代表取締役会長兼社長の多田慶太氏は、「期末の忙しい時期だったが、本当に売れるモノが作れるのであればいいとの思いで参加することにした。週末なども使って取り組んだが、Bluemix環境でこれほど早くサービスが開発できたことに驚いている」と述べた。

 メディアマートでは、5月に米国で開催される同様の大会にも参加予定で、「今回ここで優勝したことで、“なんちゃって日本代表”になれた。世界大会でもがんばりたい」と抱負を語っている。

 なお、Watson賞を受賞したメディアマートには、約180万円相当のWatson日本語版開発環境が1年間無償で提供される。

メディアマートのプレゼンの様子
メディアマートは心疾患と脳血管疾患に注目してサービスを開発した
心臓MRI自動診断支援サービスのデモ画面
ビジネスモデル賞も受賞したメディアマートのビジネスモデル

レコメンデーションを活用したサービスが数多く登場

 今回のハッカソンで審査基準となったのは、アイデア(30%)、ビジネスモデル(30%)、アプリプロトタイプ(20%)、コンテンツ有効性(10%)、プレゼン能力(10%)だ。決勝に残った5つのサービスのうち、3つがレコメンデーションを活用したものだった。

 Watson賞以外の賞としては、ユーザーに最適なお薦めスポットを提案するパーソナライズドナビを開発した日本情報通信が「プレゼン賞」を、地域に特化した観光案内情報の提供サービスを開発した伊藤忠テクノソリューションズが「コンテンツ賞」を、個人のニーズに最適化された飲食店情報をチャット風に提供するグルメコンシェルジュアプリを開発したブライトビューが「アプリ賞」を、バーチャルリアリティで行きたい場所のツアーを体験できるサービスを開発したクレスコが「アイデア賞」を受賞。Watson賞を獲得したメディアマートは、「ビジネスモデル賞」も受賞している。

決勝戦に参加したチームと審査員たち(写真提供:ソフトバンク)

 審査員を務めたソフトバンク 常務執行役員 法人事業副統括の佐藤貞弘氏は、「これまでWatsonをビジネスにどう結びつけるのかはあまり見えていなかったが、今回のハッカソンで、Watsonを活用したビジネスがどのようなものになるのかがわかってきた。今後、旧来のシステムを乗り越えられるようなビジネスモデルやサービスがさらに登場してくる可能性を垣間見た1日だった」と述べた。

(藤本 京子)