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MetaMoJi、建設現場で使う「野帳」をデジタル化した「eYACHO」アプリ、大林組と共同開発

 株式会社MetaMoJiは18日、株式会社大林組との共同開発により、建設現場で使われている手帳「野帳」をデジタル化したiPad向けアプリ「eYACHO(イー・ヤチョウ)」のベータ版提供を開始した。正式版は7月提供開始予定。

「eYACHO」アプリ

 「野帳」は、屋外での利用に適した耐久性の高い手帳のことで、建設現場では備忘録や測量結果の記録、打ち合わせのメモなどさまざまなシーンで利用されている。コンパクトで現場でも即座にメモが取れるが、その内容を報告書や指示書などにまとめるとなると、事務所に帰って内容を改めてPCに入力しなおす必要があるなど、管理に手間がかかる点が課題だった。

 大林組では、野帳のデジタル化を検討する中で、MetaMoJiとの共同開発を実施。大林組では2012年からiPadの導入を行っており、アプリとして「MetaMoJi Note」を利用していたが、アプリユーザーが野帳の代わりの備忘録として利用していたことや、MetaMoJi Noteをベースとしたデジタル野帳の利用意向が高かったことなどから、MetaMoJiとの共同開発に至ったという。

建設現場で使われている「野帳」をデジタル化
実際に現場で使い込まれた野帳
大林組が行ったアンケートの結果

 「eYACHO」では、手書き、テキスト、写真などのコンテンツを組み合わせたノートを簡単に作成できる。ボイス録音機能も備え、ノートへの貼り付けが可能。新規のノートを作成すると日付が付与されるため、メモなどを日付ベースで管理できる。ノートに記入した内容の指定した部分を「ToDo」として登録でき、ToDoリストで一覧できるようになっている。

 自由に書けるノートのほか、テンプレート機能により業務で毎日利用する定型のノートも簡単に作成が可能。表計算ユニットも備え、現場における出面帳(勤務表)のような用途では、数値を入力するだけで自動的に集計できる。

手書き文字を拡大縮小して配置するなど自由なノートの作成が可能
ノートの一部を「ToDo」指定して一覧管理できる
表計算ユニットを備え、定型業務用のテンプレートも作成可能

 eYACHOアプリは、iPad向けのベータ版を18日からApp Storeで公開。正式版は、ノート数やページ数など一部機能に制限のある無料版と、1ユーザーあたり月額300円の有料版で展開予定。iPhone版、Android版、Windows版なども順次公開する。さらに、データ共有やコンテンツ配信機能を備える「チーム版」の開発も行っていく。

製品プラン
製品ロードマップ

 MetaMoJiでは、今回のeYACHOを「MetaMoJi GEMBA(ゲンバ)アプリ基盤」の上で開発された現場向け業務ソリューションの第1弾と位置付け、今後もさまざまな業界の現場向けアプリを提供していく意向。

 MetaMoJi代表取締役社長の浮川和宣氏は、「mazecはPCとは違うアプリ市場を開拓してきた。キーボードが利用しにくい屋外や接客業務など、オフィスではなく“現場”での採用例が多く、これは従来のPCが到達できなかった分野だ」と説明。タブレットの登場をきっかけとして現場のIT化が進んでおり、従来のデスクワークとは違うアプリが求められているとして、こうしたアプリに求められる要件を「GEMBA」コンセプトとしてまとめたとした。

 MetaMoJi代表取締役専務の浮川初子氏は、現在開発中の機能として、動画やカレンダーなどの機能を紹介。また、データのリアルタイム共有機能についても開発中で、これにより現場内の共有が画期的に向上することに期待しているとした。今後は、建設業界以外にもさまざまな業界に向けてアプリを提供していきたいとしたが、今回の大林組との共同開発のように「現場をよく知る人と一緒でないと開発はできない」として、パートナー企業を募集していくと説明。アプリにより、「日本の現場を強くする支援をしていきたい」と語った。

「MetaMoJi GEMBAアプリ基盤」のコンセプト
GEMBAアプリに求められる要件
さまざまな業界への展開を予定
(左から)MetaMoJi代表取締役社長の浮川和宣氏、大林組グローバルICT推進室技術課長の堀内英行氏、MetaMoJi代表取締役専務の浮川初子氏

三柳 英樹