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LKJ、いすゞ、富士通の3社、医薬品の安定供給に貢献する物流プラットフォーム構築に向けた実証実験を実施

 株式会社ロジスティクスナイト・ジャパン(以下、LKJ)、いすゞ自動車株式会社(以下、いすゞ)、富士通株式会社の3社は27日、国内における医薬品の安定供給に貢献するため、製造拠点から調剤薬局や病院などの最終納品先にわたる物流網において、医薬品を一元管理する医薬品を一元管理する医薬品物流プラットフォームの構築に向けた実証実験を11月上旬より開始すると発表した。

 実証実験では、医薬品物流における輸送品質と適正温度の管理、および物流効率化を目指した共同輸送やパレット単位での輸送シミュレーションを実施する。

実証実験のイメージ

 物流業界では、人手不足やドライバーの高齢化が進む中、輸送能力の低下や輸送コストの上昇、配送リードタイムの延伸などの問題が発生している。こうした中、国内の医薬品については、物流網全体では十分な量があるにもかかわらず、供給不安や在庫偏在により、医療機関や薬局などにおいて局所的な医薬品の不足や廃棄などの問題が顕在化している。また、品質維持のために厳密な温度管理が求められることから、製薬メーカー・卸売り販売業者・物流事業者の間での輸送や保管におけるトレーサビリティの確保が課題となっているという。

 実証実験では、1)医薬品の適正流通(GDP)ガイドラインに準拠した物流網全体における医薬品の理論在庫値および輸送・保管温度の可視化、2)物流効率化に向けた共同輸送、3)作業効率化に向けたパレット輸送の導入効果検証――の3テーマに取り組む。共同輸送にあたっては、国内で製造された医薬品を北海道内の調剤薬局や病院まで運ぶルートにおいてシミュレーションを実施する。

 実証実験は、LKJ・いすゞ・富士通の3社のほか、株式会社トランストロン、Ridgelinez株式会社を加えた5社共同で、国土交通省の公募事業「物流イノベーション実装支援事業」に応募し、「医薬品物流プラットフォーム事業」として採択された。

 実証実験において、LKJは医薬品物流における専門的な知見を提供する。いすゞは高度な運行管理や稼働サポートサービスを提供する情報基盤「GATEX」を活用した、輸送中の車両情報や運行情報を取得するためのシステムを提供する。富士通は、内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第二期 スマート物流サービス」プロジェクトで構築したプラットフォームにおける要素技術と、強靱かつ柔軟なサプライチェーンを実現するオファリング「Dynamic Supply Chain Management」を提供する。

 LKJ、いすゞ、富士通の3社は、データ連携の高度化を通じ、物流網全体での品質の担保、在庫廃棄の削減、在庫偏在の解消など、物流の効率化と医薬品の安定供給に貢献するため、経済産業省および国土交通省が推進するフィジカルインターネット実現会議の医薬品ワーキンググループと連携し、医薬品物流プラットフォームの実現に向けて検討を加速していくとしている。

 LKJは、医薬品物流において、どのような環境下においてもつながる強固で持続的な安定供給網の拡充により、川上から川下までの各者(荷主、物流事業者、卸売り販売業者、患者・顧客)間の課題解決と最適化を図るとともに、医薬品物流全体のWin-Winの体制構築を目指す。

 いすゞは、中期経営計画「ISUZU Transformation - Growth to 2030(IX)」に基づき、業界を超えたさまざまなステークホルダーと連携し、運送事業者・荷主の輸配送効率を高めることで、新時代の「運ぶ」を創造する新サービスの創出を推進する。

 富士通は、社会課題を起点とする事業モデル「Uvance」のもと、物流データの利活用を促進し、さまざまな業種や業界の相互連携を加速させることで、変化に強いサプライチェーンの実現に貢献し、持続可能な社会とビジネスの成長をともに前進させるとしている。