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NTT Com、クラウド事業方針説明会開催

~仮想化と自動化を推進し、グローバルかつシームレスなサービス提供へ

NTTコミュニケーションズ株式会社 代表取締役社長 有馬 彰氏

 NTTコミュニケーションズ株式会社(NTT Com)は4月15日、「『Global Cloud Vision』に基づくこれまでの取り組みと今後のサービス展開に関する説明会」を開催した。2011年に発表した中期事業計画「Global Cloud Vision」の方針を引き続き堅持し2015年に収益2000億円達成を目指すが、NTT Comグループのサービス提供スキームについては、製造と販売を切り分け、サービス開発と提供の迅速性を図るとともに、オペレーションの効率化と販売の最大化を目指すとした。

 NTTコミュニケーションズ株式会社 代表取締役社長 有馬 彰氏はまず、事業の現況を数字を挙げて説明。グローバルシームレスサービスについては2014年に新たに2サービスを追加して12サービスまで拡充、クラウドサービス拠点数も2013年の11拠点から2014年には13拠点にすると述べた。

 クラウドサービスの顧客数は、2012年の2400から3013年には4900と2年間でほぼ倍増した。データセンターのサーバールーム面積は2013年に19.8万平米となったが、2014年第四四半期にはインド、上海など海外データセンターが開設し、2014年以後には24.6万平米となる予定で、うち海外が14.2万平米、国内が10.4万平米と海外の方が提供規模が大きくなる。

 ネットワークサービス提供国/地域は2013年に発表したVirtela社買収により、買収前の160から196へと拡充した。NTT Comは海外企業のM&Aを積極的に勧めており、2014年だけでもVirtela、RagingWire、arkadinとすでに3社の買収を完了している。有馬社長は、世界のサービスカバレッジで残る空白部分についても、自社で進出するよりM&Aなどによりスピーディに補完したいとの考えを示した。

オンプレミス中心からグローバルシームレスクラウドへ
クラウド/データセンター事業で2015年には2000億円の収益を目指す
世界共仕様のサービス展開を加速
サービスカバレッジの空白地域は、M&Aによってスピーディに補完する方針

 有馬社長は、「Global Cloud Vision 2014」のバリューとして、(1)通信事業者ならではのネットワークとクラウドの連携強化(キャリアクラウド)、(2)仮想化の加速(SDN/NFVなど)、(3)自動化の推進(API機能の拡充など)の3つを挙げ、これらにより低コスト・迅速・オンデマンドなICT環境の実現を目指すとした。

 (1)については、通信キャリアならではのクラウドとVPNを無料で接続する従来からのメリットを強調。また、新たにクラウドがネットワークに接続される際に独自開発の検知装置(通称SAMURAI)と防御装置により、クラウドをDDos攻撃から防御する機能を装備したことを説明した。

クラウドとVPN接続は無料
クラウドをDDoS攻撃から防御

 (2)の仮想化の推進について有馬社長は、アプリ・ボイス・クラウドなどでは仮想化が進展しており、仮想化した部分は低コスト、提供の迅速さやオンデマンドといった顧客の要望に応えられると説明。現状では下のレイヤーになると設備に組み付いているが、将来的には「すべてのレイヤーを仮想化する、ソフトウェアで制御できるようにすることで、より柔軟に安く使いいただけることを順次目指していきたい」と述べた。

 仮想化については、4月にSDNを用いたクラウド/コロケーションハイブリッドサービスの提供を開始。同じく4月に「Arcstar Universal One Virtual」により、顧客企業と取引先など異なるネットワーク間をSDN通信を用いてトンネルでつなぎ、低コストでセキュアな通信が行えるサービスを開始。Arcstar Universal Oneの新オプションとして、Virtela社のNFVを使って顧客企業の米国拠点と欧州拠点をより高速に接続できるサービスを2014年夏に提供予定だと述べた。同じく2014年夏には、SDN技術を使ってクラウドとVPNの接続をカスタマーポータル経由で自動化する機能の提供も予定する。

現在のICTの仮想化範囲
クラウド/コロケーションハイブリッドサービス(図の左がクラウドのプラットフォームがあるデータセンターで、右がないデータセンター)
Arcstar Universal One Vertual
Arcstar Universal One新オプション

 (3)の自動化の推進に関しては、「API機能が若干不足しているのではないかと言われているが、年内ベースで統合APIゲートウェイを作り、顧客にとって同じ書式でAPIが利用できるようにする」(有馬社長)とした。

 また有馬社長は、サービス提供スキームを見直し、ファクトリー導入モデルを導入すると説明。製造機能(ファクトリー)と販売機能(セールス)を分離し、グローバルシームレスサービスを強化するとした。これまでは各国ごとに開発・提供していたサービスを開発と販売で切り分け、サービス開発および提供をより迅速に行うと同時に、オペレーションの効率化販売の最大化を目指す。

統合API-GWnによるAPI統合
ファクトリーモデル導入イメージ

工藤 ひろえ