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EMCジャパン、重複排除バックアップ/アーカイブ関連製品を強化

ミッドレンジ向けData Domainの拡充、Avamarとの連携強化など

 EMCジャパン株式会社は6日、バックアップ/アーカイブ関連の新製品を発表した。まず、重複排除機能を備えたバックアップストレージ「EMC Data Domain」では、ミッドレンジクラスの新モデルを提供するほか、Data Domainとの連携が強化された重複排除バックアップソフト「EMC Avamar 7」、クラウド事業者向けの機能などが追加されたバックアップソフト「EMC Networker 8.1」を新たに提供する。

 企業内のバックアップシステムは、これまで、バックアップ対象となるシステムごとに構築されるケースが多く、それぞれがサイロ化してしまっていた。しかしこれでは、「データバックアップの信頼性にも影響が出るし、運用管理が非常に困難。また、コスト効率化の妨げにもなる」(EMCジャパン BRS事業本部の遠井雅和本部長)ため、統合化されたバックアップ環境が必要になっているという。

 今回、EMCジャパンが提供する新製品は、こうした課題に応えるもの。まず新しいData Domainでは、サーバー側へ重複排除処理の一部をオフロードするDD Boost機能において、IPに加えてFC SANが利用可能になった。

 従来は、FC SAN経由でも仮想テープライブラリとしての利用はできたが、今回の機能強化により、初回のフルバックアップと増分イメージを合成し、仮想的なフルバックアップとして利用できる「仮想合成フルバックアップ」、クローン制御レプリケーション、Data DomainとDD Boostのすべての機能がFC SANで利用できるようになったことから、ユーザーの利便性が向上する。例えば、仮想合成フルバックアップを利用すれば、フルバックアップを年間最大90%削減できるとのことだ。

 また、NFSを通じたSAP HANA Studioからの直接バックアップに対応し、SAP HANAのデータベース管理者が効率的にバックアッププロセスを管理できるようにしたほか、「DD Boost for Oracle RMAN」がOracle ExadataおよびOracleベースのSAPシステムをサポートするため、データベース管理者がバックアップおよびDRをより効率的に実行できる。

 さらに、OpenText、IBMのアーカイブアプリケーションとの統合も行われ、これまで以上に広いアーカイブストレージ環境のサポートが可能になったとのこと。これによって、ファイル、メール、SharePoint、コンテンツ管理、データベースアーカイブなど、20以上のアーカイブアプリケーションに対応できるようになった。

バックアップに加えて、アーカイブの機能を大幅に強化している

 一方で、ハードウェア自体も強化された。「Data Domain DD7200」「同 DD4500」「同 DD4200」「同 DD2500」の4モデルをミッドレンジ向けに提供。CPUの性能向上などを受けて、既存製品と比べてバックアップ時間を最大1/4に短縮可能になった。拡張についても、2TBの拡張シェルフが新たに3TBに対応し、バックアップデータを長期保存するための「Extended Retention」オプションを利用すると、10倍の拡張性を実現できるとのこと。

ミッドレンジ向けのData Domain製品が一新された。最大4倍の高速性、最大10倍の拡張性を実現したという

 ソフトウェア製品では、Avamar 7でData Domainとの連携が強化された。Data Domainへファイルシステム、NDMP、IBM Lotus Notesのデータをバックアップすることが可能になったため、大きなデータをData Domainへバックアップして、パフォーマンスと拡張性を向上させられる。

 また、VMwareの仮想マシンイメージをData Domainにバックアップする場合は、VM Instant Access機能により、直接Data Domainから仮想マシンを起動できる。この機能により、例えば本番サイトが落ちた場合にData Domainから仮想マシンを起動して利用しつつ、本番サイトの復旧時にはvMotionで本番環境へシームレスに移行する、といった運用が可能になる。

 さらに、特に日本からの要望を受け、バックアップやリカバリができない時間(ブラックアウトウインドウ)をなくし、1日24時間、バックアップ/リカバリができるようにした。ただし、メンテナンス中に多くの処理をすると効率が落ちるため、なるべくその間は処理をしない方がよいとしている。

AvamarとData Domain製品の連携を強化
ブラックアウトウインドウをなくしたが、メンテナンス時間帯は多くの処理をしないように推奨されている

 Networker 8.1では、前述したDD Boostの機能強化により、SAN経由でのDD Boostの利用をサポート。NASとしての利用に加えて、FC SANとしての利用が可能になっている。さらに、マルチテナントのサポートにより、クラウドでの利用がしやすくなった。「さまざまなテナントがバックアップ環境を共有しつつ、お互いのデータは隔離されていてアクセスできない。また、それぞれの論理区画に対して、固有のSLAを適用したりもできる」(米EMC アジア・パシフィック・ジャパン バックアップ・リカバリ・システムズ部門 シニア・ディレクタ兼チーフ・アーキテクトのPK・グプタ氏)。

 なおEMCジャパンでは、AvamarとNetworkerを「EMC Data Protection Suite」としても購入できるようにした。このスイート製品では、柔軟なライセンスモデルが採用されており、多様なデータ保護要件に応じた、最適な組み合わせで個々の製品を利用可能である。

米EMC アジア・パシフィック・ジャパン バックアップ・リカバリ・システムズ部門 シニア・ディレクタ兼チーフ・アーキテクトのPK・グプタ氏

石井 一志