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EMCジャパン、バックアップ製品群やエントリーストレージを強化

 EMCジャパン株式会社は4日、バックアップ/リカバリ製品群を強化すると発表した。バックアップソフト製品群のライセンスをパッケージ化した「EMC Data Protection Suite」の新版や、重複排除ストレージ「DataDomain」用OSの新版などを提供する。またあわせて、エントリーストレージの強化も発表された。

 バックアップ関連では、まず、「EMC Data Protection Suite」を構成する製品で機能が強化されている。具体的には、重複除外機能を持ったバックアップソフト「Avamar 7.1」、バックアップソフト「NetWorker 8.2」、バックアップ管理ソフト「Data Protection Advisor 6.1 SP1」が新たに提供される。

 Avamar 7.1では、「VMware vCloud Director」向けに標準のバックアップAPIを提供し、クラウド対応を強化。さらに、Data Domainとの統合により、すべてのワークロードをData Domainでサポートし、バックアップ環境を統合できるようになった。

 NetWorker 8.2では、プライマリストレージとの統合やNAS環境におけるスナップショット管理のサポート強化により、Isilon、VNXといった自社ストレージや、NetAppのアレイに対応した。また、従来より対応していたVMware環境に加えて、MicrosoftのHyper-V環境への対応を強化し、同社の管理ツールである「System Center Virtual Machine Manager(SCVMM)」のプラグインが提供されている。

 Data Protection Advisor 6.1 SP1は、新アーキテクチャにより、小規模レベルからエンタープライズやサービスプロバイダ環境、REST APIへの拡張を実現。クラスタリングもサポートしている。

Avamar 7.1で提供されるVMware vCloud Director向けプラグイン
NetWorker 8.2ではHyper-V対応を強化

 重複排除ストレージのDataDomainについては、ストレージOS「Data Domain Operating System 5.5」を新たに提供。「Data Domain Boost for Enterprise Applications」によって、アプリケーション管理者自身によるバックアップ/リカバリが行える環境を増やした。従来はOracle Databaseのみへの対応だったが、今回よりSAP、SAP HANA、DB2、SQL Serverを新たにサポートしている。

 さらに、論理的にデータ領域を分割し、各領域で完全な管理機能やセキュリティを提供する「マルチテナント機能」が利用可能になった。米EM CDPA事業本部 シニアディレクター兼チーフアーキテクトのP・K・グプタ氏は、「企業のプライベートクラウドやパブリッククラウドでサービスを提供する時に鍵となる機能だ」とその意義を説明する。

 このほか、アーカイブではスケーラビリティが強化され、10億ファイル、200~300TBのアーカイブデータをサポートしている。

 「データ保護をサービスとして提供する(Data Protection as a Service)には、使っているのがオンプレミスであれいずれのクラウドであれ、一貫した状態で保護でき、(状態を)可視化できる能力が重要。また、データ保護をアプリケーション管理者などが自ら行える、セルフサービスの機能が重要だ」(グプタ氏)。

Data Protection as a Serviceで重要なマルチテナント機能を提供
アプリケーション管理者にセルフサービス機能を提供する

 それ以外の製品では、ストレージ仮想化製品「VPLEX」とデータ保護製品「RecoverPoint」の組み合わせにより、「MetroPoint」構成(トポロジー)を実現。基幹業務アプリケーションに対するビジネス継続性を3サイトで実現する。「3サイトによるバックアップ・DR構成により、1サイトが落ちてもフルの可用性を提供する」(グプタ氏)とした。

パートナー経由でエントリー市場の拡大を図る新モデル

マーケティング本部 フィールド マーケティング部長の渡辺浩二氏

 一方で、中堅・中小企業を対象としたエントリーストレージでは、「VNXe3200」と「Data Domain DD2200」を用意した。

 VNXe3200はEMCジャパンではもっとも下位の「VNXeシリーズ」ではあるものの、「VNXeの上位というよりも、(その1つ上にあたる)VMXの下位機種という位置付け」(マーケティング本部 フィールド マーケティング部長の渡辺浩二氏)とする。

 それは例えば、ほかのVNXeシリーズがブロックストレージとしてはiSCSI SANのみに対応するのに対し、VNXe3200には8Gbps FCモジュールが用意されている点や、ディスクアレイのCPUコアを平準化しCPUボトルネックの発生を防ぐ「EMC MCx」、キャッシュ機能と階層化機能を組み合わせた「FAST Suite」機能など、エンタープライズ向けストレージの機能を踏襲しているため。そうした機能を備えながらも、専任の管理者が不在のことが多い中堅・中小企業向けであることから、シンプルなGUIを提供し、わずか15分で設定が完了するとのこと。

 DD2200も、ミッドレンジの位置付けだった「DataDomain DD620」と比べて、2倍の容量、3倍のパフォーマンス、2倍のストリーム数対応といった性能を持ちながら、エントリー機種に位置付けられている。

 価格はVNXe3200が126万5000円(税別)から、DD2200が220万円(税別)から。いずれも、間接販売専用モデルとなり、渡辺氏は「販売パートナーとのエコシステム確立により、エントリー市場の拡大を図る」と述べた。

VNXe3200の特徴
DD2200の特徴

石井 一志