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サイボウズ、「kintone」に企業間コラボレーション機能を搭載

カスタマイズ性を向上する「JavaScript読み込み」機能も

代表取締役社長の青野慶久氏

 サイボウズ株式会社は16日、独自開発のクラウド基盤「cybozu.com」上で提供するビジネスアプリ基盤「kintone」をアップデートし、企業間コラボレーション機能「ゲストスペース」、カスタマイズ開発機能「JavaScript読み込み」の提供を開始したことを発表した。

 kintoneは、クラウド上で業務アプリを簡単に作れるPaaSサービス。データベース、ワークフロー、コミュニケーションと“チームワーク”に必要な3つの機能を備えており、同社では「チームワーク・プラットフォーム」として訴求している。

 2011年11月のサービス提供より順調に実績を伸ばし、この6月には有料契約者数が700社を突破。当初の中小企業による導入だけでなく、最近は大企業での導入、あるいは企業間や社外を巻き込んだ活用事例も増えているという。

 「例えば、季節ごとに膨大なWebサイト更新が生じる通販会社はホームページ制作会社も含めた情報共有をしていたり、介護の分野では介護士による情報共有だけでなく、患者やその家族も含めてkintoneで情報を共有している例もある」(代表取締役社長の青野慶久氏)

kintone有料契約者数
大企業での使用事例
社外との活用・提案事例

 ゲストスペースは、そうしたkintone上での企業間や社外における情報共有をセキュアに実現する機能。kintoneですでに提供されている、業務データやディスカッションをテーマごとに共有できる「スペース」機能を拡張したもので、組織として契約しているメンバー以外の人も情報共有の場に招待できるようになる。

 「これまで多くの顧客から、社内ではグループウェアなどのツールで効率的に情報共有できるものの、社外とは“Excelファイルを添付したメール”で多くの業務が行われていることを不満として伺っていた。大量のメールとExcelファイルが行き交うため、最新のデータが分からない・検索に時間がかかる・引き継ぎに手間がかかるなどの問題が生じていた。これを解決するのが、新機能のゲストスペースだ」(青野氏)。

 kintoneにおける企業間での活用事例はすでに多い。しかし、今までは社外の人も情報共有できるようにアクセス権を与えると、業務アプリ全体にアクセスできてしまっていた。今回のゲストスペースは、システム的に非公開スペースと分離されており、招待されたゲストメンバーも参加したゲストスペース以外の情報は閲覧できないようになっている。このため、煩雑なアクセス権の設定を行わなくても、情報漏えいを防ぎつつスムーズに業務が進められるとしている。

ゲストスペースの概念
画面例

 一方のJavaScript読み込み機能では、より高度なカスタマイズが可能となる。従来は汎用的な機能のみを提供し、ノンプログラミングで業務アプリの構築・設定を行えるのが特徴だったが、同機能により、条件書式・自動採番・経過年数の自動計算をはじめ、顧客ごとのニーズに柔軟に対応できるようになる。

 「例えば、住所フィードに自動的にGoogleマップを貼り付けるといったカスタマイズが可能となる」(青野氏)。

カスタマイズ事例
ソリューションマップ

 これと併せて、技術者向けサイト「cybozu.com developers」を開設した。kintoneをはじめ、cybozu.comサービスのAPIドキュメント・JavaScriptサンプル・ホワイトペーパー・SDKなどを公開している。

川島 弘之