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ネポンとNEC、ハウス内機器の制御機能を農業ICTサービスで提供

スケジュールに合わせて灌水制御が可能に

 ネポン株式会社と日本電気株式会社(NEC)は11日、農業の生産性向上や農産物の品質改善に貢献する農業ICTクラウドサービスを強化し、あらかじめ設定したスケジュールに合わせて灌水制御(水やり)が可能な新機能を追加した。

 温室用温風暖房機メーカーであるネポンと、M2M技術を利用したソリューション「CONNEXIVE」を提供するNECは、従来からセンサネットワークなどを利用して農地データの見える化やコミュニケーションを実現するサービスを提供している。

 今回の機能強化では、クラウド経由により、ハウス内に設置した灌水装置(水が出るチューブ)を1日のうちで何時から何時まで、どのくらいの間隔で作動させるか、どのくらいの時間水をやるのかなど灌水にかかわる詳細な設定を、1日48パターンまでPC画面で設定できる。

 また、過去の灌水実施の実績レポートをPCやスマートフォンから確認できるため、今後の灌水設計にも活用可能。また、従来の灌水装置は、一般的に1台の灌水制御盤あたり8バルブが上限だったが、32バルブまでサポートするため、大規模な圃場への対応や、同一圃場内でのより細かな養液管理を実現することが可能という。

 本灌水制御機能の価格は4960円(税別)から。

 なお、灌水制御機能を導入した初めてのユーザーとして、農事組合法人和郷園(千葉県香取市)が、養液栽培(肥料分を含んだ水を灌水する栽培方法)で栽培する農作物の品質安定に向けて、同サービスを導入した。

 和郷園では、従来から養液栽培で灌水制御を効率的に行うために、ハウスごとに設置した灌水プログラムが複数設定できる灌水制御盤を利用してきたが、農業ICTクラウドサービスの導入により、これまでハウスごとに行っていた灌水制御設定を、生産者がPCを通じて遠隔から行えるようになり、灌水状況の監視も可能となる。さらに複数のハウスの灌水制御を一元管理できるようにもなる。

 これらにより和郷園では、灌水制御ノウハウを蓄積でき、ノウハウをグループ内で共有できるように。また、どこにいてもハウス環境が確認でき、灌水制御設定を行えるため、国内にいながらにして海外に設置した農場での養液栽培も可能となり、グローバル展開が可能になったという。

 ネポンとNECは、2012年7月に全国農業協同組合連合会(JA全農)と農業ICTクラウドサービス事業で協業し、農業ICTクラウドサービスの提供を進めている。今回の機能強化、および和郷園への導入も本協業によるものとのこと。両社は今後も、JA全農とICTおよびクラウド技術を活用したサービスを農業生産者に提供し、合理的な農業経営の確立を支援していく。

川島 弘之