日本IBMなど5者、静岡県産果物のトレーサビリティ共同実証実験
国際標準の電子タグを活用した共通基盤で生産者を支援
慶應義塾大学SFC研究所、一般財団法人流通システム開発センター、株式会社大和コンピューター、神奈川工科大学、日本アイ・ビー・エム株式会社の5者は22日、電子タグを活用した、静岡県袋井市産果物のトレーサビリティ共同実証実験を実施すると発表した。国際標準の識別番号体系(EPC:Electronic Product Code)を用いてモノを個体識別し、モノの生産者と消費者の交流や複数の物流会社にまたがる出荷状況の追跡などさまざまなアプリケーションからデータを利活用できる共通基盤を構築し、国内および海外(香港)にてトレーサビリティを実証する。
近年、農業・漁業をはじめとする第1次産業で担い手不足や国内市場の縮退などが懸念される中、生産・物流・販売を一手に行う第6次産業の発展が注目されている。今回の実証実験では、静岡県袋井市で収穫された果物のトレーサビリティならびにeコマースを実現する共通基盤を構築。2012年11月に収穫された果物を生産地から東京・大阪・千葉・香港まで追跡し、関連情報を共有する。
具体的には、果物の糖度、農場の放射線量を測定し、生産者・収穫地・収穫日・食べごろ・出荷数といった生産情報とともに、生産者自身がFacebookページに登録。消費者はこれらの情報をFacebookページで閲覧でき、Facebookにリンクされたeコマースサイトから購入できる。収穫地から運ばれた果物は、出荷場で果物の個体識別子と梱包の個体識別子、物流業者の識別番号がeコマースの発注番号と関連付けてクラウドに登録される。これにより、出荷された果物は、流通経路での配送状況や温度情報を追跡できるようになる。
この共通基盤を実用化することで、生産の効率化のみならず、生産者の利益の向上や、消費者の安心・安全に対する要求を満たせるとのこと。また今後、自治体や農業生産者が簡単かつ気軽に利用できる仕組み作りも検討する予定という。