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レッドハットがクラウド戦略を説明、「オープンソースコミュニティのイノベーションをユーザーへ届ける」
(2013/5/22 16:46)
レッドハット株式会社は22日、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)を中心とするプラットフォーム製品の戦略に関する記者説明会を開催。来日した米Red Hat バイスプレジデント兼プラットフォーム事業部門長のジム・トットン氏らが、RHELやクラウド分野の製品について解説した。
レッドハット 執行役員 パートナー・アライアンス営業統括本部長の古舘正清氏は、RHELの市場について説明。RHELの成長戦略として「レガシーマイグレーションの加速」「オープンハイブリッドクラウドの成長加速」「組み込み市場における成長の加速」の3つを掲げ、「5年で3倍以上の市場規模に拡大させる」と語った。
古舘氏は、市場の変化がRHELの追い風になっているとして3つの要素を指摘した。1つ目は、これから企業でハイブリッドクラウドの利用が進んでシステムのオープン化が進むという「本格的なハイブリッドクラウド時代の到来」。2つ目は、クラウド中心への変化やWindows XPの終了などによってデスクトップ環境としてWindowsのシェアが低下しWindows Serverの必然性が薄れるという「デスクトップ環境の変化」。3つ目は、ストレージやネットワークも仮想化される「インテルアーキテクチャの拡大」だ。
古舘氏はエンタープライズでのユーザー事例として、IAサーバーをRHELに統一した大和証券、グローバルなシステムをRHELで構築した日産自動車、部門ごとにばらばらに構築されていたサーバーをRHELで共通基盤化したSGシステム(佐川急便グループ)のケースを紹介。さらに、パートナーである富士通、日立、NECの3社からのビデオレターを流し、基幹システム分野におけるパートナーとの協力の重要性を語った。
Software Defined Datacenterにはオープンハイブリッドクラウドが最適
米Red Hatのジム・トットン氏は、「OpenIT:ビジネスへの戦略的なインパクトをどのように与えるか」と題して、クラウド分野での同社製品群について解説した。
トットン氏はまず、ガートナーの調査レポートをひきながら、企業のIT部門が「ビジネス部門からの期待は高まるが、予算は縮小されている」状況を紹介。そして、革新的なソリューションとコスト削減を両立するために“Software Defined Datacenter”が望まれていると語り、それにはコモディティなハードウェアや技術を元にし、拡張性や伸縮性を持ち、クラウドコンピューティングとレガシーシステムを包含する、オープンハイブリッドクラウドが最適だと主張した。
Software Defined Datacenterの構成要素としてトットン氏は、仮想化された計算資源をスケールアップやスケールアウトさせる「コンピュート」、膨大なデータを格納し洞察を抽出する「データ」、インフラを接続してワークロードを自在に移せるようにする「ネットワーク」の3点を挙げ、「これらはOpenStackで実現できる」と紹介した。
Red Hatは4月にOpenStackディストリビューション「RDO」などを発表している。トットン氏は「Red Hatは去年からOpenStackに参加したが、貢献コード数ではすでにNo.1」と自社の取り組みをアピールした。
また、このようなプライベートクラウドやパブリッククラウドなどさまざまな環境が混在したデータセンター環境を管理するソリューションとして、「CloudForms」「ManageIQ」製品を紹介した。
さらに、企業で効率よくアプリケーションを開発しデプロイするニーズに対してPaaS基盤が重要であるとして、「OpenShift」を紹介した。
トットン氏は最後に、これからもオープンなイノベーションが将来のITをリードするとし、オープンソースコミュニティのイノベーションをRed HatがOEMパートナーの力を得て製品化し、ユーザー企業に導入されていくと語った。