日本HP、手のひらサイズのシンクライアント端末「t410」~ネットワーク最適化ソフトもバンドル


 日本ヒューレット・パッカード株式会社(日本HP)は23日、手のひらサイズのシンクライアント端末「HP t410 Smart Zero Client」(以下、t410)を発表した。価格は2万6040円から。

 t410は、Citrix ICA、RDP 7.1、Microsoft Remote FX、VMware PCoIPなどの主要な画面転送プロトコルに対応したシンクライアント端末。手のひらサイズのコンパクトな筐体を採用しながらも、画面転送処理専用チップ(DSPチップ)の「TMS320DM8148」を搭載することにより、最大でフルHDでの2画面表示(DisplayPortとVGA)に対応できるという。

 また、シンクライアントとしては大容量の1GBメモリを搭載しているため、端末側で映像をデコードするマルチメディアリダイレクション利用時にも、バッファオーバーフローで映像が途切れ途切れになることを防げるとのこと。さらに、2GBのフラッシュメモリを搭載しており、ソフトの入れ替えに対応。将来的にプロトコルがバージョンアップした場合などでも、最新の技術に対応できるようにしている。

 筐体サイズと重量は幅14.8×奥行き18.5×高さ3.2mm、0.63kg。VESAマウントにも対応しており、液晶ディスプレイの裏側などに装着できる。

 価格は、PCoIPプロトコルに対応したモデルが3万1290円、非対応のモデルが2万6040円。同プロトコルの対応・非対応以外に、両者に違いはない。


HP t410 Smart Zero Clientt410の特徴

 また今回は、t410を始め今後のシンクライアント端末に無償バンドルされる仮想デスクトップ環境向けのネットワーク最適化ソフト「HP Velocity」もあわせて発表された。この製品は、パケットロスや輻輳(ふくそう)、ジッタなどのネットワークの品質問題を解決するためのソフト。特に、画面転送や動画再生、音声会議、ストリーミングなどリアルタイム性が求められるアプリケーションの利用時に効果を発揮するという。

 主な機能は3つ。1つ目は、パケットを複数のセグメントに分割し、パリティパケットを挿入して送信する機能。受信先でセグメントをもとのパケットに組み立てるが、この際に分割したセグメントの1つがロスしてもデータを回復できるため、パケットロスの軽減とデータ再送信の防止が実現する。

 日本HP プリンティング・パーソナルシステムズ事業統括 クライアントソリューション本部の九嶋俊一本部長は、「ストレージのRAID 5と同じ考え方で、2つ以上失われない限りパケットを再送しなくても復元できるため、90%以上、パケットロスによる影響を削減できる。また、受信先での組み立ても1ms以下と、オーバーヘッドはほとんどない」と、この仕組みと価値を説明した。


日本HP プリンティング・パーソナルシステムズ事業統括 クライアントソリューション本部の九嶋俊一本部長90%以上のパケットロスを防げるという

 2つ目の機能は、無線LANに特有のオーバーヘッドを削減し、スループットを改善するもので、最大15%の改善が見られるとのこと。最後の3つ目は、エンドトゥエンドのモニタリングを行う機能で、スループットやパケットの状態をリアルタイムに監視することで、障害時の迅速な対応などに役立てられるとしている。


無線LANに特有のオーバーヘッドを削減エンドトゥエンドの監視機能を提供
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