新規事業が好調のSAPジャパン、2012年の重点領域は?~安斎社長が戦略語る


代表取締役社長の安斎富太郎氏
SAPジャパン、2011年のハイライト

 SAPジャパン株式会社は31日、戦略記者会見を開催。代表取締役社長の安斎富太郎氏が2012年の重点施策などを説明した。

 グローバルでは過去最高の好業績だった。ソフト売上25は%増の39億7000万ユーロに到達。インメモリソフト「SAP HANA」も目標1億ユーロを大きく超えて、1.6億ユーロの実績となった。

 SAPジャパンでも、総額6.25億ユーロ(21%増)の売上を達成。ソフト全体で35%増、ビジネスアナリティクス(BA)関連で50%増の伸び率となった。また、ERP以外の売上の割合が55%を占めるなど新規ビジネス分野も好調。特にSAP HANAは「世界売上の約8%を占め、日本が世界をけん引している」(安斎氏)と日本での好調さが際立っている。

 このほか、パートナー関連売上が46%増とチャネルの構築も好調。認定コンサルタントは約8000人(2ケタ増)となり、SAP HANAコンサルタントも200名以上に増えたという。

 2012年の重点領域は「Analytics」「Mobile」「Application」「Database&Technology」「Cloud」の5つ。基本となるのは「すべての製品でHANAを基盤に採用する点だ」(同氏)。HANAに関しては、全製品開発部門にHANAタスクフォースと責任者を設置。現状では“BA基盤としてのHANA”が主なところだが、2012年は「Mobile」「Database&Technology」「Cloud」にも積極的に展開。「ERP on HANA」もスタートさせるという。

2012年フォーカスソリューション2012年のSAP HANA

 このHANAをベースに「Analytics」領域では、「SAP Business Objects(BO)」におけるビッグデータのリアルタイム活用やモバイルBIを実現するなど、「BA、HANA、モバイルの融合を強めていく」(同氏)。

 「Mobile」では、マルチデバイスに対応するスマートデバイス向け開発実行環境「Sybase Unwired Platform 2.x」、モバイル機器管理ソフト「Afaria 7.x」を筆頭に、現在26種類を出荷済みのモバイルアプリを100種以上に拡大。自社開発だけでなくパートナーアプリも拡充する方針で、専任体制も強化するという。

 「Application」では、「SAP Business Suite」の5年間保守延長(2020年まで)や、RDS (Rapid Deployment Solutions)の提供などを行っているが、さらにユーザーエクスペリエンスの向上などを図っていく。

 「Database&Technology」では、HANAとSybase製品群との統合を進めていく。

 「Cloud」では、コラボツール「SAP StreamWork」や温室効果ガス排出管理ソフト「SAP Carbon Impact」などのクラウドサービスに加え、パートナーとの協業を進めるとし、NECへの課金システム提供などを例に挙げた。また、クラウド型人材管理サービスを手がける米SuccessFactorsの買収などを挙げ、クラウドへの投資を引き続き行っていく意向を示した。

 その上で「現状、SAPはAnalytics分野でリーダーの立場にある。残りの分野でもリーダーとなるのが目標だ。これらをベースに2015年までに200億ユーロを目指す」(同氏)とした。

パートナーエコシステムの強化

 2012年はこれら重点領域にフォーカスするとともに、顧客に対して「2015年に向けたミッションは“Make every customer a best-run business”」(同氏)とし、「顧客対応力の強化」「顧客要求の正確な把握とデマンドマネジメント」「市場カバレッジの強化」を掲げた。そのためにもパートナーとの協業を重視し、2015年までにパートナー関連売上を全体の4割まで引き上げるという。そのための施策として、「共同ビジネス計画の立案・実践」「新規事業領域への協業拡大」「Globalizationプログラムの継続推進」「認定コンサルタントのさらなる増員」などを行っていく。

 同時にSAPジャパン社内でも、一芸に秀でた社員を育成し連携させる「One Team」構想を描く。「現状の課題としては、急速にふくらんできた新規ビジネスに対して、社員のスキルをいかに追随させていくかが喫緊。継続してスキル向上に励むとともに、“One Team”というマインドを定着させるよう人材育成に努めていく」(同氏)とした。

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