日本オラクル、Java EE 6に対応した「WebLogic Server 12c」
米Oracle 製品管理担当シニアディレクターのマイケル・リーマン氏 |
日本オラクル株式会社は25日、アプリケーションサーバー製品の新版「WebLogic Server 12c」を発表した。2月7日より国内提供を開始する。
新版では200以上の機能を強化した。特にJava EE 6/SE 7対応、信頼性と災害対策機能の強化、高性能化、Enterprise Manager 12cによる運用管理性の向上、シームレスなアップグレードなどが特徴となる。
中でも特筆すべきは、Java EE 6/SE 7への対応だ。米Oracle 製品管理担当シニアディレクターのマイケル・リーマン氏によれば「従来のJava EEアプリケーションサーバーでは、実際にアプリを開発する上で不足していた部分をOSSや自社製フレームワークを使って埋めてきた。Java EE 6対応により、この不足分がほぼゼロとなり、OSSや自社開発フレームワークへの依存度を減らし、コード量や設定ファイル量などの開発作業量も削減できる」という。削減率はクラス数25%、コード行数50%、XML行数80%などだ。また、依存性注入(DI)、アノテーション、POJO、RESTなど最新開発技術、Maven、Hudson、Eclipse、JDeveloper、NetBeansなどの開発ツールにも対応する。
災害対策機能の強化としては、「Oracle Database」との高度な連携を実現。「Oracle Active DataGuard」や「Oracle GoldenGate」といったデータ連携・高可用性ソフトを活用可能となる。また、拡張機能である「Active GridLink for RAC」により、データベースの負荷状況に合わせて動的に処理を振り分ける負荷分散と、データベース障害や構成変更の際、自律的に追随してデータベース接続の維持が可能となる。加えて、Oracle DatabaseとOracle WebLogic Serverの一元管理も可能となっている。
Java EE 6による開発生産性の向上 | 信頼性と災害対策機能の強化 |
高性能化では、SPECjEnterprise 2010公式ベンチマークで世界記録を達成。新製品を搭載したExalogicでは、Webリクエストで10倍、JMSメッセージで5倍、Enterprise Javaオペレーションで5倍の高速化を実現したという。
IBMとの性能比較 | Exalogicでのパフォーマンス例 |
シームレスなアップグレードでは、既存の「Internet Application Server」からの移行自動化ツール、「WebLogic Server 11g」からのシンプルなアップグレード、「JBoss WebSphere」から乗り換えサービスなどを提供する。
なお、新製品は、財務管理、人材管理、サプライチェーン管理などのアプリケーション群「Fusion Applications」のアプリケーション実行基盤となる。また、「Fusion Middleware」の基盤となる「Oracle Cloud Application Foundation」の中核にも位置づけられる。同基盤には、WebLogic Serverのほか、「Oracle Coherence(インメモリ・データグリッド)」「Oracle Tuxedo(トランザクション処理)」「Oracle Traffic Director(負荷分散)」「Virtual Assembly Builder(仮想環境管理)」が含まれ、“Fusion Middlewareのクラウド化”を実現するという。
WebLogic Server 12cの価格は、「Standard Edition」が108万7000円/プロセッサ、2万1700円/Named User Plus(NUP)。「Enterprise Edition」が271万7400円/プロセッサ、5万4300円/NUP。「Suite」が489万1300円/プロセッサ、9万7800円/NUP。
■国内パートナー支援を強化
WebLogic Server 12cには多数のパートナーが賛同している。中でもNEC、日立Sol、CTC、NSSolの4社は製品評価プログラムに参加するなど特に力を入れている。日本オラクルではこうしたパートナーへの支援策として、技術情報・トレーニングの提供を進める方針。
「Oracle PartnerNetworkにおいてミドルウェア分野のSpecialaization取得者数は現在約400名。今後もセミナーやハンズオンを通じてこの数を増やしていく。また、Webサイト『WebLogic Channel』を通じて技術情報を提供するほか、参加者累計2000名を突破した勉強会も引き続き実施し、Oracle Developer Daysを今年も全国で開催するなど、さまざまな支援を行っていく」(日本オラクル Fusion Middleware事業統括本部 ビジネス推進本部 シニアディレクターの清水照久氏)とした。