日本HP、ネットワーク仮想化技術などを強化したブレードサーバーのラインアップを拡充


 日本ヒューレット・パッカード株式会社(日本HP)は14日、ブレードサーバー「HP BladeSystem c-Class」のラインアップを拡充すると発表した。サーバーブレードでは、リモート管理機能や仮想化機能を強化した「HP ProLiant B460c G7」「同 BL490c G7」、高密度型の「同 BL2x220c G7」を提供する。あわせて、「HP BladeSystem Matrix」についても、ネットワーク仮想化機能を強化したモデルを用意する。いずれも、販売開始は10月14日。

HP バーチャルコネクトとFlex Fabricの特徴
HP バーチャルコネクトのポート分割機能

 新製品のうち、B460c G7/BL490c G7は、インテルのXeon 5500/5600番台を最大2基搭載可能な、2ソケットのサーバーブレード。G7世代のほかのProLiantサーバーと同様、反応速度などが強化されたリモート管理機能「iLO 3」を搭載するほか、10Gbps CNA(Converged Network Adapter、EthernetにおけるNICに相当)を搭載し、I/O統合を実現する「HP バーチャルコネクト」への対応が強化されている点が最大の特徴になる。

 HP バーチャルコネクトは、1つのネットワークインターフェイスを、論理的に最大4つまで分割できる、ネットワークの仮想化機能。これを中核に、各仮想ポートの帯域を自由に設定する機能、ID設定を仮想化する機能、一度物理配線をすると、つなぎ変えることなくLAN/SANへの結線を自由に指定・変更できるワイヤーワンス機能などを組み合わせることで、運用の省力化とコスト削減を実現している。

 また7月には、Ethernet、FCoE、高速iSCSIといったマルチプロトコルに対応する「FlexFabricモジュール」が、BladeSystem c-Classの筐体向けに提供されたほか、Opteronプロセッサを採用するサーバーブレードにも、HP バーチャルコネクト対応のCNA搭載製品が追加され、ネットワークの仮想化を推進するとしていた。

 今回、B460c G7/BL490c G7がラインアップに加わったことで、AMD、インテルのCPU搭載サーバーブレードがいずれもFCoEまでをカバーするHP バーチャルコネクトに対応し、顧客に幅広い選択肢を提供可能になったという。

 また、BL460c G7は「1U/2Uサイズのラック型サーバーと同レベル」というDIMMスロット×18を備えており、「多くのメモリスロットにメモリ単価が安いものを載せることで、大容量メモリを実現できる。仮想化の初期導入コスト低減につながる」(エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 インダストリースタンダードサーバー事業本部 製品マーケティング本部 製品企画部の木村剛氏)といったメリットを提供できるとした。

 価格は、BL460c G7が27万7200円から、BL490c G7が38万7450円から。

B460c G7の概要B460c G7を手にする、エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 インダストリースタンダードサーバー事業本部 製品マーケティング本部 製品企画部の木村剛氏
B490c G7の概要多数のDIMMスロットを備えることから、安価なメモリモジュールを活用して大容量メモリを搭載できるという

 同時に提供されるBL2x220c G7は、ほかのサーバーブレードと同じサイズに、2つのサーバーセットを組み込んだ高密度型のサーバーブレード。1つのセットにつき、Xeon 5500/5600番台を2基と、最大96GBメモリ、SATA HDD/SSD×1を搭載できる。こちらは、ネットワークインターフェイスとして、HPCで多く利用される4X QDR InfiniBand(40Gbps)を標準搭載。HP バーチャルコネクトにも対応しているので、最大4ポートに分割して利用することも可能だ。

 「ラック型サーバーを一般的なブレードサーバーにするとラックが1本減らせるが、2x220cなら1ラックにプロセッサ能力を集約でき、大規模演算が必要なお客さまに最適だ」と、木村氏はその特徴をアピールしている。

 価格は、1セットにつきXeon×2、24GBメモリなどを搭載した最小構成で134万850円から。


BL2x220c G7の概要高密度型ブレードの活用により、ラックスペースを劇的に削減するという
エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 インダストリースタンダードサーバー事業本部 製品マーケティング本部 事業企画部 宮本義敬マネージャー

 なお、日本HPでは、ブレードサーバーをx86サーバーの中の戦略製品に位置付けて、これまでもさまざまな施策を行ってきた。エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 インダストリースタンダードサーバー事業本部 製品マーケティング本部 事業企画部 宮本義敬マネージャーは、「2006年に、“Blade 3.0”戦略を実現するBladeSystem c-Classによって、市場シェアを大きく拡大。また、省スペース、100V電源対応の投入で、中堅・中小市場を開拓した」と、これまでの戦略を振り返るが、さらなる一歩として、今後は「クラウド型統合」をキーワードにしていくとする。

 クラウド・コンピューティング環境を実現するためには、サーバー、ストレージ、ネットワークの各要素を仮想化・プール化し、柔軟にリソースを取り出せることが必要になる。しかし、「現状では、サーバー、ストレージ、ネットワークの各要素は仮想化されていても、その接続部分が仮想化されていない」(宮本氏)ため、複雑性が増し、運用工数が増大してしまう、といった課題をクリアできていない。

 そこで日本HPは、HP バーチャルコネクト技術とFlex Fabricモジュールによるメリットを前面に押し出し、ブレードサーバーの市場を拡大していきたい考えで、宮本氏は「フレックスファブリック化を推進しクラウドの本格推進にまい進したい」と述べている。

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