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キヤノンITS、製薬企業のMR向け副作用報告支援システム「PVLink Camera Report」

 キヤノンITソリューションズ株式会社 (以下、キヤノンITS)は、製薬企業のMR(医薬情報担当者)向けに、iPhone/iPadを利用した副作用報告支援システム「PVLink Camera Report」を6月上旬に販売開始する。

 国内の製薬企業は、医薬品の副作用によるものと疑われる症例等を確認した場合、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)に対して、その副作用情報を報告することが義務付けられている。一般的に副作用情報は、製薬企業のMRが医療機関などを訪問して収集しており、その情報は自社にある医薬品の安全管理部門に報告され、情報の評価や再調査を実施し、副作用報告が必要なものをPMDAに送付している。

 MRが自社の安全管理部門へ行う副作用情報報告には、迅速さ、正確さ、情報送信の安全性が求められるという課題があるが、現状では多くの製薬企業において、FAXやメールを使用した報告が行われており、宛先間違いや、誤ったデータを配信してしまうなどの人為ミスを防止する仕組みがなく、都度手作業で送信する必要があることも、運用上の課題となっている。

「PVLink Camera Report」概要図

 キヤノンITSではこうした課題を解決するため、副作用報告支援システム「PVLink Camera Report」を開発。システムは、報告書を最適化して送信するiOS向けの報告用アプリと、報告を受領して自動的に受領連絡を行うサーバーソフトウェアで構成されている。

 報告用アプリは、iPhone/iPadから第一報連絡票および詳細調査票を撮影、報告、後処理を行うアプリケーション。自動的に撮影ファイルサイズを縮小する機能や、カラー撮影、台形補正/グレースケール/コントラスト調整の自動実行、見開きのA3書類を撮影するとA4画像2枚に自動分割する「A3モード」などの機能を搭載。調査対象をカメラで撮影して、自動編集し、補足情報として医薬品名や情報源などを選択することで報告できる。完了後は自動で画像の削除が行われ、デバイス上にデータを残さないようになっており、報告時にはVPN接続を必須にすることができる。

報告用アプリの画面イメージ

 受付システムは、報告用アプリから受領した複数の画像ファイルを結合、PDF変換し、指定のフォルダに出力する。受領完了メールをMRに、安全管理部門の関係者には受付連絡メールがそれぞれ自動配信される。

 こうした仕組みにより、煩雑な業務を軽減するとともに、自社の安全管理部門においては迅速かつセキュアな報告を実現する。また、情報連携が容易になるため、報告遅延や報告漏れを防ぐことも可能になり、PMDAへの副作用報告を円滑に行うことができる。

 製品の価格(税別)は、MRライセンス100人分が含まれるベースライセンスが300万円、追加のMRライセンスは100人分が50万円。

 キヤノンITSでは、EDIシステム「EDI-Master DEX for Medical」を製薬企業向けソリューションとして提供しており、これまでPMDAに対する副作用報告の情報配信の仕組みとして、大手製薬企業の大多数である80社以上に導入実績がある。今後も副作用報告についてトータルなソリューションを展開し、「EDI-Master」を中核とするEDIソリューション関連事業で、2020年に年間売上高25億円を目指す。