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日本ヒューレット・パッカード、KVM仮想環境で動作するソフトウェア版無停止サーバー「Virtualized NonStop」

 米Hewlett Packard Enterprise(HPE)の日本法人である日本ヒューレット・パッカード株式会社は11日、無停止型サーバーソリューション「HP Integrity NonStopサーバー」(以下、NonStop)において、仮想環境に対応したソフトウェア製品「HPE Virtualized NonStop」を提供開始すると発表した。

 「NonStop」は、24時間365日無停止での稼働を実現するミッションクリティカルサーバー。プロセスを多重化し、1つのプロセスが落ちたとしてもバックアップ側が瞬時に処理を引き継ぐ「プロセスペア技術」による100%の可用性、性能と規模をリニアに拡張可能な無停止データベースといった特長を持ち、障害時でもシステムを再起動せずに処理を継続することができる。

HP Integrity NonStopサーバーの特徴

 長らく、インテルのItaniumプロセッサを利用したハードウェアで提供されてきたが、2015年に発表された「HP Integrity NonStop X」では、x86/x64アーキテクチャのXeonプロセッサを採用するなどオープン技術を採り入れ、高性能と低TCOの両立を目指してきた。

 今回提供するVirtualized NonStopではさらに、ハードウェアとソフトウェアを切り離しており、OS「HPE NonStop OS」、無停止型データベースシステム「HPE NonStop SQL/MX」、運用管理システムなどをソフトウェア製品として切り出して、仮想化環境で利用できるようにしている。

 これについて、データセンター・ハイブリッドクラウド事業統括 データセンター・ハイブリッドクラウド製品統括本部 ミッションクリティカルソリューション製品本部の富田浩次担当部長は、「従来は一体化されたコンバージドシステムとして提供してきたが、仮想化環境でお使いいただけるソフトウェアを、新しい選択肢として提供するものがVirtualized NonStopだ」と説明した。

データセンター・ハイブリッドクラウド事業統括 データセンター・ハイブリッドクラウド製品統括本部 ミッションクリティカルソリューション製品本部の富田浩次担当部長

 仮想サーバー環境であっても、NonStop OSや無停止対応のミドルウェアは従来と同様に動作し、実行プロセスの冗長化、トランザクションの一貫性保持など、「NonStop」の特長はそのまま引き継ぐ。バイナリ互換も維持されており、従来のアプリケーションをそのまま実行可能だ。

 仮想環境はKVMに対応(VMwareやHyper-Vも今後対応予定)するほか、管理についてはクラウド管理ツールであるOpenStackを利用可能。NonStop Open System ManagementがOpenStackと連動することで、迅速な起動、リソース配備、構成変更を含むさまざまな自動化が可能という。

Virtualized NonStopの特徴

 NonStop SQL/MXも仮想環境で稼働でき、無停止での処理継続を行える高い可用性に加えて、仮想環境ならではの俊敏性や柔軟性、マルチテナント機能などが利用可能なことから、無停止データベースのクラウド基盤として利用できるとしている。

 なお、富田氏によれば「Xeonベースで提供しているNonStop Xは、ハードウェアは特別なものではないため、当社の要求水準を満たしているサーバーであれば、他社製品であっても(Virtualized NonStopとの組み合わせで)同等クラスの可用性を提供できる。可用性を確保するために、提供当初はお客さまのサーバー構成を確認するプロセスを入れる予定だ」とした。

 価格は、エントリークラス 2CPU 1コアで635万6400円(税別)から。日本ヒューレット・パッカードでは、今後もItaniumベースのNonStop、XeonベースのNonStop X、ソフトウェア製品のVirtualized NonStopといった、3本立てのラインアップで製品を提供していく計画である。

コンバージドシステムとして提供するNonStop/NonStop Xと、ソフトウェアベースのVirtualized NonStopはそれぞれ製品ラインを維持。業種、用途に応じて提案方法を分けていくとしている