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NEC、NTTの「NetroSphere」の実現に向けたネットワークスライス実証実験に技術提供

 日本電気株式会社(以下、NEC)は24日、日本電信電話株式会社(以下、NTT)が策定する将来の通信ネットワークの技術開発に関するコンセプト「NetroSphere(ネトロスフィア)構想」の実現に向けた実証実験に技術を提供したと発表した。

 NetroSphere構想は、NTTが2015年2月に発表したコンセプトで、顧客やサービス事業者の要望に応じた機能を持つネットワークを柔軟に、経済的に構築することを目指すものとしている。

 NTTの研究所による実証実験では、NetroSphere構想の実現に必要な「ネットワークスライシング技術」の検証を行った。ネットワークスライシング技術は、ネットワークを仮想的に分割し、サービスの要求に合わせた仮想ネットワークを即座に提供できるようにするもの。この技術を確立することで、サービス事業者は、必要なネットワークリソースを必要な期間だけ利用することができるようになるなど、多様なサービスを低コストで実現することが可能となる。

 実証実験では、各端末の通信(トラフィック)状況に基づき、トラフィックを適切なネットワークに動的に振り分ける機能の実証を行った。NECでは、各端末のトラフィックの識別やネットワークへの振り分けを行う「vCPEソリューション」と、端末のトラフィックに応じて振り分けのルールを動的に変更する「IoTサービスイネーブラ」を提供し、NTTの実証実験に貢献した。

 NECのvCPEソリューションは、ルーターなどの宅内通信機器が行っていた通信経路選択やネットワークアドレスの変換などの機能を、NFV(ネットワーク機能の仮想化)によって実現するもの。ユーザーの宅内にあるモデムやルーターといった通信機器の機能を、ネットワーク経由でデータセンターから提供する。これにより、ネットワークの規模や端末数に合わせて機能を柔軟に拡張でき、ネットワークの高度化に貢献できる。

 また、IoTサービスイネーブラは、3GPPで標準化された移動体通信向けのネットワーク機能との連携も可能で、ネットワークの状況把握や通信帯域の制御などを実現する。これにより、固定通信と移動体通信の双方に対し、高度なネットワークの提供に貢献できる。将来的には、ネットワークの状況把握と分析にAIを活用していく。

 NECでは、今回の実証実験での実績を活かし、IoTサービスイネーブラやvCPEをはじめとした通信ソフトウェア、ネットワーク仮想化ソリューションを国内外に拡販していくことで、SDN/NFV適用を推進し、通信事業者の高度な通信サービスの実現に貢献していくとしている。