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「フリーランス協会」設立、フリーランスやパラレルワーカーを支援、企業と一体で「働き方改革」実現
2017年1月26日 15:32
「プロフェショナル&パラレルキャリアフリーランス協会(仮)」が1月26日に設立された。フリーランスとして活動するプロフェッショナルワーカーに加え、企業に在籍しながら副業や兼業しているパラレルワーカーの有志が主体となり、フリーランス支援に携わる企業・団体23社が支援する
協会の代表理事で株式会社Waris代表取締役共同創業者の田中美和氏は、各業種のマッチングサービス、モバイルやインターネットの普及、価値観の多様化などを背景に、日本におけるフリーランスは2016年に1000万人を突破したことを紹介。さらに、「会社員でもほかの企業の仕事ができるパラレルワーカーも増えており、副業・兼業(を認める就業規定)は大企業も広がっている」とし、これらを背景に「クリエイターだけでなく、ビジネス系の営業やマーケティング、事業企画など、さまざまな種類のフリーランスが生まれつつある」とした。
フリーランスには、自由に働けるメリットがある反面、社会保障が手薄で、労災保険や雇用保険、国民年金なども全額自己負担であるほか、ローンが組みにくいなどの社会的な不安もある。さらに、先輩や上司、同僚とのつながりなども獲得しにくくなる。また、専門領域を持つがゆえに、ほかのジャンルなどへのキャリアアップが難しかったり、仕事を獲得するための営業活動や、確定申告をはじめとした経理業務も必要となるため、そうした面で難しさを感じる声もあるという。
協会では、フリーランスが主体となるが、これを支援する企業と一体となって現状を把握し、さまざまな支援を行うことで「こうした課題を解決し、(フリーランスが)安心・安全な状況で能力を発揮できる土壌を作りたい」とした。また、「興味あるけど一歩踏み出せない人にも選択肢を提示したい」と述べた。
協会は任意団体としてスタートするが、4月には社団法人化を目指す。協会のウェブサイトでは、無料のメールマガジン会員を募集しているが、4月からは各種特典を得られる正会員の募集を開始する。会費は1万円前後が想定されているという。「協会普及へ向け、(メルマガ会員を含め)初年度に1万人程度の会員獲得を目指したい」とのことだ。4月には著名なフリーランスにアンバサダーとして就任してもらうプランもあるという。
正会員向けの特典としては、融資やローンの提供、保険プランや人間ドック、コワーキングスペース、法務・会計・事務サポートの優待利用、参加するfreee株式会社が提供するサービスの優待価格利用など。また、参加する法人会員も募る。このほか、職種・地域別の分科会では懇親イベントを開催し、コミュニティの形成などを支援するほか、スキルアップやキャリアアップを支援する職種別セミナーも開催。さらに「新しい働き方EXPO」を年1回開催する。
このほか、フリーランスを活用するイメージがわきにくい企業へ向けて、啓発・啓蒙セミナーなども実施する。また、新しい働き方における個人と企業や、個人と個人のマッチングにおける課題について、関係省庁と意見交換を行うとのこと。「働きやすい環境作りへ向け、フリーランスの生の声を届けたい」とした。
一方、安倍内閣では2016年8月に「働き方改革担当大臣」を設置するとともに、安倍首相も参加する「働き方改革実現会議」を8月以降月1回程度開催するなど、長時間労働の是正をはじめとした「働き方改革」が推進されている。
協会設立の発表会に出席した経済産業省大臣官房参事官(経済産業政策局担当)兼産業人材政策室長の伊藤禎則氏は、「働き方改革では山が動いていると実感している」と述べた。
伊藤氏は、「働き方改革は最大のチャレンジである」との安倍首相の発言から、「本気で日本人の働き方を変え、経済の成長を実現することを目指している」とし、「それを受けて、政府や企業、個人で何をするのかが核心」と述べた。そして、これまでの日本型雇用システムについて、「国際的には珍しい新卒一括採用で、昇進や給料ではいまだに年功による度合いが強い」ことに加え、仕事の範囲が不明確で曖昧な“無限定職務範囲”をその特徴として挙げた。
こうした雇用システムは、さまざまな部署をローテーションすることでゼネラリストになれる面もあるが、「チームで仕事をして職務が無限定だと、なかなか帰れず、長時間労働につながりやすい」とその問題点を挙げた。また、「会社や事業部、部署単位でタコツボ化しており、会社以外の人生でどういったコミュニティを作れるか、日本ではうまくいっていない」とし、ITやビッグデータ、人工知能などの流れの中で産業構造が変化し、ビジネスのやり方も変わっているが、こうした欧米で進んでいる分野の流れに乗りきれない理由にもなっているとの見方を示した。
そして、雇用関係によらない働き方や副業・兼業、テレワークの3つを旧来の日本型雇用モデルの対極と位置付けた上で、「タコツボを打破して横串を指し、働く人に選択肢を提供する。そのために必要なことを政府と研究会で検討している」と述べ、一例として同一労働同一賃金や、労働基準法第36条で規定されている残業無制限に対する規制などを挙げ、「会社に長く雇用されていることが前提に社会保障制度が組み立てられているので、これを変えていきたい」と語った。