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Google、「Google Cloud Platform」の東京GCPリージョンを正式運用開始

 Googleは8日、パブリッククラウドサービス「Google Cloud Platform(以下、GCP)」の日本国内リージョンである「東京GCPリージョン(asia-northeast1)」について、正式運用を開始したと発表した。

 東京GCPリージョンは、台湾に次ぐアジア圏内で2番目の拠点。これまでベータサービスとして提供してきたが、正式サービスとしての運用を開始した。東京GCPリージョン内には、分離された3つのゾーンが設けられており、複数ゾーンにアプリケーションやデータの分散が可能。稼働済みの台湾の3ゾーンと合わせて、アジア圏内では6ゾーンの利用が可能となった。

東京GCPリージョンが正式運用開始
Google Cloud Platform

 Googleでは、2017年末までにアジア圏内のリージョンとしてシドニー、シンガポール、ムンバイの3拠点を増強し、合計で5リージョン、14ゾーンを利用できるようにする予定としている。

 東京GCPリージョンでは、仮想マシンの「Compute Engine」やオブジェクトストレージの「Cloud Storage」など、リージョンの概念のあるサービスはすべて提供。ビッグデータ分析の「BigQuery」のようなリージョンの概念のないサービスも、これまでと同様に利用できる。

アジアのリージョンは2017年末までに5拠点に拡大予定
GCPの製品群

 Google Cloudプレジデントのタリック・シャウカット氏は、「世界五大市場の1つである日本国内にGCPのリージョンを立ち上げ、顧客が望むスピードや信頼性を提供していく」と説明。Googleでは600人以上のセキュリティエンジニアが仕事をしており、GCPはGoogleが提供するサービスを基礎として、同等あるいはそれ以上のセキュリティを提供していくとした。

 他のパブリッククラウドサービスと比較した場合、GCPはビッグデータと機械学習の分野に強い点がメリットになると説明。翻訳、画像認識、音声認識、自然言語解析といった各種APIを提供しており、機械学習を他のサービスよりも遥かに高速に行えるとした。

Google Cloudプレジデントのタリック・シャウカット氏
GCPの機械学習モデル

 また、ネットワークの面でも、Googleのサービスを支えるインフラが利用可能な点がメリットになると説明。最近の代表的な事例としては、「Pokémon GO」のユーザー急拡大への対応を挙げ、企業に対してはCRE(Customer Reliability Engineering)チームが、企業やサービスの成長をサポートしていくとした。

Google Cloudの利点
「Pokémon GO」の急拡大をサポート

 GCP日本事業統括の塩入賢治氏は、「GCPを使っているのはインターネット企業がほとんどと思われるかもしれないが、実際にはさまざまな企業がクラウドの利用を避けて通れなくなっている」として、データ分析や機械学習といったテクノロジーも、多くの企業のクラウドへの移行を後押ししていると説明。不正の検知や、コールセンターにおける音声の分析、ドローンで撮影した画像の分析など、すでにさまざまな用途で機械学習は利用されており、Google自身も機械学習技術の採用により、データセンターの冷却コストを40%削減できたといった例を紹介した。

GCP日本事業統括の塩入賢治氏
機械学習の応用でデータセンターの冷却コストを削減

 すでに、日本でも多くの企業がGCPを利用しているが、日本国内のリージョンが欲しいという要望が多くあり、正式運用開始を嬉しく思うとコメント。利用者には、GCPで新しい試みにチャレンジしてほしいと考えており、そのチャレンジを継続して支援していくとした。

 販売については、既存のパートナーが東京GCPリージョンを活用したサービスの提供を開始するとともに、さらにパートナーを継続的に増やしていくと説明。また、近日中に開始を予定している「GCPプロフェッショナル認定プログラム」の日本語での認定開始に加え、1000人規模のエンジニアを招待したトレーニングインベント「Google Cloud Onboard」を12月13日に開催するなどの取り組みも行っていくとした。

日本の主要顧客例
日本での認定プログラムやイベントを開催