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鳥取県情報センター、自治体向けクラウド基盤でFlexPodを活用

拡張性の担保と運用負荷軽減を実現

 ネットアップ株式会社は21日、株式会社鳥取県情報センター(以下、TIC)が、事前検証済みの統合インフラソリューション「FlexPod」を採用したと発表した。同社では、自治体向けクラウドサービスの基盤としてFlexPodを利用している。

 財団法人鳥取県情報センターを前身とするTICは、約40年にわたって鳥取県内の自治体や民間企業などに情報システム関連のサービスを提供してきた実績を持つ。その同社の提供する自治体向けクラウドサービスは、複数の自治体がシステム基盤を共有するパブリッククラウドで、2010年から運用する第1世代のシステム基盤では、ファイバチャネル(FC)接続のストレージを含む垂直統合インフラを採用していた。しかし、予想を上回るビジネスの伸長により、サーバーのメモリ増設やストレージの拡張など、システム基盤のたび重なる拡張作業が大きな負荷になっていたという。

 特に、FCストレージによる煩雑な運用や、拡張作業のたびに発生するシステム停止、複雑な構成のバックアップシステムに起因する長時間のバックアップなどにも課題を抱えていたとのこと。

 そこでTICは、パブリッククラウドの形を維持しながら基幹系システムの稼働に耐えられる性能、信頼性、セキュリティを実現できることを要件に、第2世代のシステム基盤を選定。ネットアップのストレージ製品の採用を前提としながら、シンプルなシステム構成や運用負荷の軽減、DR環境の構築しやすさなどを評価し、ネットアップとCiscoによる事前検証済み統合インフラFlexPodの採用を決めた。

 FlexPodは、あらかじめ各種コンポーネントを組み合わせた事前検証済み構成で提供されることから、シンプルなシステム構成を実現するとともに、基盤全体の運用負荷を大幅に軽減。従来、長時間かかっていたバックアップ時間の短縮や、DR(災害対策)環境発動時の迅速なシステム復旧も実現したという。さらに、ネットアップのストレージを利用している顧客のオンプレミス環境からは、DRの受け入れ先として利用することが可能になった。

 なおTICでは、2015年7~8月に第2世代のシステム構築作業を実施。第2世代のシステム基盤への既存の顧客システム群の移行には、VMware vSphereのライブマイグレーション機能を活用して、無停止での移行を行っている。

 現在、鳥取県内のデータセンターに設置されたメインシステム基盤には、アクティブ・アクティブ構成のNetApp FAS8020(4ノード構成)を2セット、また岡山県内のデータセンターにアクティブ・アクティブ構成のNetApp FAS2554Aが設置され、遠隔地バックアップとDR発動時の迅速なシステム復旧を可能にしている。

 メインストレージでは、複数のStorage Virtual Machine(SVM)からなるマルチテナント構成がとられ、2015年10月時点で約550台の仮想サーバーから利用されている。さらに近年では、グループウェア、文書管理など、TICが開発・提供しているSaaSや、地元のソフトウェア企業が手がけているコンテンツ管理、ふるさと納税関連、教育系アプリケーションなどの動作環境としても活用されているとのこと。

 あわせて、クラウドサービス基盤とファイルサーバーへのデータバックアップやDRは、ネットアップが提供するデータ保護能(NetApp Snapshot、NetApp SnapMirror)へと全面的に切り替えられた。加えてVirtual Storage Console(VSC)を導入することで、VMware vCenter上から一元的にストレージを管理し、DR発動時にも最小限の手順でシステムを復旧できるようになっている。