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「Azureの新規VMはLinuxが6割」、マイクロソフトがOSSへの取り組みを説明
2016年6月17日 06:00
日本マイクロソフト株式会社は16日、「オープンソース・ソフトウェア(OSS)に対する取り組み」に関するプレスセミナーを開催した。
クラウドサービスであるAzureを活用することで、これまでと違う業種への新規事業参入といった新たな動きが迅速に行える。またデジタル化により新しいユーザー体験がもたらされる。デジタル化の進展による世界が進化するスピードの速さに対応するためのこうした動きに、クラウドサービスであるAzureと、その上で稼働するOSSが活用されている事例が増加しているという。
「マイクロソフトは“OSS LOVE”の段階から、OSSを開発する会社になった」こと。AWSをはじめとしたクラウドサービス提供他社とは大きく違う点と言える。「OSSは1社だけではなく、協業により生み出されるもの。マイクロソフトでも、よりよいものを一緒に作るモードに入った」とする。
マイクロソフトでは、継続してWindows ServerやSQL Serverといった自社の製品群を提供しているが、「それだけでは企業の成長戦略を支援できない。そのための選択肢がOSS」なのだという。
OSSは分散テクノロジーを前提に開発されているため拡張性が高い。むしろコストよりも、スピードやスケーラビリティのためにOSSが選ばれているとのことだ。
Azure上ではWindowsしか動かないと思っている顧客企業もまだまだ多いとのことだが、現在、Azureデータセンターで稼働する仮想マシンのうち、世界ではの約4分の1、国内ではこれがさらに高い3分の1がLinuxだという。で高まるという。国内ではRed Hatのシェアが高く、これもLinux VMが多い理由の一つとのことだ。
Azureの名称は、2014年初頭にWindows AzureからMicrosoft Azureに変更されているが、それもこうした動きを受けてのものなのだという。
「Azure Marketplaceから、各種OSSの導入イメージが数クリックでデプロイでき、サービスを開発する側がすぐに使えるようになっている」という。Azure Marketplaceには、提供する導入イメージをサードパーティでも登録ができる。その6割はOSSのものだという。マイクロソフトでは、こうしたサードパーティ向けに開発を支援する動きなども積極的に展開している。
こうしたOSSの開発に対しては「すでに始まっている動きに同調して拡張するという考え方で、そもそものムーブメント、流れを変えるつもりはない」という。
マイクロソフトでは、クラウドでのOSS活用において、5つの分野に重点を置いている。このうち「Apache Spark for Azure HDInsight」は、OSS「Hadoop」を用いて大規模なデータ分析を高速に行えるもの。HadoopはJavaやScala、Pythonからでないと呼び出しができなかったが、C#でも連携できるプロジェクト“Mobius”の開発が進んでいる。ソースコードはGitHubでも公開されているとのこと。
Apache Spark for Azure HDInsightは、金融リスクシミュレーション、自動車衝突解析など、大量のリソースを使う用途での機会も増えているとのことだ。時間単位での課金となるAWSとは違い、Azureは分単位での課金となっている。「5つの領域のうち、ビッグデータとHPCは、少ない顧客でも多くの利用を見込んでいる」とのことで、多くのリソースを要するHPCなどの分野では、Azureへの移行ユーザーも見られるとのことだ。
AWSやGoogleとの比較では、データセンターの拠点数が多く、国内に限っても東日本、西日本の2拠点があることも強みとなっている。他社のクラウドを利用しているユーザーからは「海外のデータセンターにに切り替わったら遅くなるという声があった」といい、レイテンシーの面でも優れている上、国内の法律下で運用されていることも、強みとなっているそうだ。
なお、Azureの提供に関しては、スタートアップ企業向けの支援プログラム「BizSpark」で3年間無償提供を行うほか、2月から12カ月無料利用枠を提供しているという。