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ヤマハ ネットワーク製品アップデートセミナー2015を東京で開催

 SCSK株式会社は12日、「ヤマハ ネットワーク製品アップデートセミナー2015」を都内で開催した。同セミナーは10月21日の名古屋を皮切りに、東京のほか全国各地で順次開催している。

 なお、ロビーでは、各製品の実機が展示されており、来年の発売を目指しているIEEE 802.11ac準拠の無線LANアクセスポイント「X14」も参考展示されていた。

無線LANアクセスポイント「WLX302」、L2スイッチ「SWX2200-8G」、PoEスイッチ「SWX2200-8PoE」、拠点ルータのフラッグシップモデル「RTX2010」(左から)
参考展示されていたIEEE 802.11ac準拠 無線LANアクセスポイント「X14」
シンプルL2スイッチ「SWX2100-8G/16G」の下には、インテリジェントL2スイッチ「SWX2300-16G/24G」が重ねて展示されていた

これまでの20年を振り返って

 今年はヤマハが最初のネットワーク製品をリリースしてから20周年の節目であることから、セミナー冒頭にはヤマハ 音響開発統括部SN開発部の広瀬良太氏より「ヤマハネットワーク製品のこれまでの20年とこれからの20年」と題した講演が行われた。なお、ヤマハは「ヤマハネットワーク機器20周年特設サイト」を解説しており、インプレスでも連動企画の記事掲載している。

ヤマハ 音響開発統括部SN開発部 広瀬良太氏

 広瀬氏は1995年にリリースした「RT100i」から年代ごとに同社がリリースしてきた一連の製品を紹介し、「SOHOや中小企業を中心に、とにかく壊れない、お客さまに役立つ製品を提供してきた」と述べた。さらに製品開発にはお客さまの声を重視してきたという。
 また、これまでの20年を踏まえた上で広瀬氏は、「スイッチや無線LANの製品はまだラインアップが不足している」とし、今後はこれらの製品市場にも積極的に展開していくことをアピールした。また、クラウドサービスの市場が拡大していることにも触れ、「ネットワーク環境の変化に即応対応できる提案をしていきたい。“賢いネットワーク”を提供することが重要」と述べた。

ヤマハはこの20年間、壊れず、役立つ製品を市場に展開してきた
今後も環境に変化に即応できる“賢いネットワーク”を提供していく

インテリジェントL2スイッチ「SWX2300」の特徴と仕様

 今年の9月14日に発売されたばかりのSWX2300についても製品紹介が行われた。前モデルのSWX2200と比較すると、見た目にも変化があるという。

 まず製品全面にコンソールが配置されている。SWX2200のユーザーから「コンソールはどこにあるのか」という問い合わせも多かったことから、全面にコンソールを配置することにしたという。さらにSWX2300はファンレスのモデルとなっている。ファンはハードウェア故障の大きな原因の1つであるが、ファンをなくしたことでより「壊れにくい」製品になっているという。ファンをなくすため、廃熱にも十分配慮した設計となっている。

前面左側にコンソールが配置された
24ポートモデルでは、SWX2200にはあったファンがなくなっており、廃熱にも工夫がされている

 もちろん中身も進化している。GUIでの設定はもちろん、コマンドラインでの設定においても業界標準のコマンド体系を採用しているため、他社のネットワーク製品と同じように設定できるという。

 また、ヤマハのルータ製品「RTX1210」で好評となっている“見える化”機能であるLANマップの一部を、「LANマップ Light」としてSWX2300にも搭載している。これによって、スイッチ単体でLANネットワーク構成や各機器の情報を表示することができる。

 LANマップ Lightでは、端末検出、トポロジー、ループ検出などLANマップの主な機能を利用することができるが、スナップショット、端末管理、メール通知といった機能には対応していない。なお、今回のセミナーには「RTX1210のLANマップ活用による効率的拠点管理の提案」と題したセッションもあり、LANマップによるネットワークの見える化による管理の効率化の手法を解説している。

LANマップ Lightによりスイッチ単体でもネットワークを見える化

 インターフェイスはLAN、SFP、VLAN、論理インターフェイス(LACP:IEEE 802.3ad Link Aggregation Control Protocol)に対応しており、複数の物理リンクを束ねて1つの論理リンクとして扱う「リンクアグリゲーション」も可能となっている。

 スイッチ機能にはFDB設定機能、VLAN機能(タグVLAN、ポートVLSN、プライベートVLAN)を搭載している。また、スパニングツリー対応によりループを防ぐことができるほか、独自のループ検出機能である「LDF:Loop Detection Frame」も搭載しているという。

 マルチキャスト機能はIGMPスヌーピングに対応しているため、マルチキャストパケットの多いネットワークでも利用できる。さらに今後はIPv6環境におけるマルチキャスト機能であるMLDスヌーピングにも順次対応予定であるという。

 トラフィック制御はACL、QoS、フロー制御、ストーム制御といった機能を搭載しており、転送量が多い環境でもパケットロスなどを防ぐことができる。

SWX2300の新規搭載機能

 すでにSWX2300はファームウェアのアップデートを実施しており、Rev.2.00.05がリリース済みである。このアップデートによって、ダッシュボードや各種詳細設定などのGUIが進化している。さらに認証系機能、スイッチ機能、マルチキャスト機能、ヤマハルータとの連携(LANマップへの表示)機能などを追加していく予定であるとのこと。

気になる機能アップデートは

 セミナー後半では、直近1年間のファームウェアに見る機能アップデートを一斉に紹介した。

 センタールータ製品「RTX5000」および「RTX3500」については、IPsecの機能改善、BGP MD5認証対応、タグVLAN上のPPPoEサポート、データコネクトRadius認証機能などを実現した。さらに拠点ルータ製品「RTX1210」「RTX810」においてもGUIの設定項目を追加したり、各種表示コマンドの追加などを実現している。

 無線LAN APの「WLX302」は最大Member APの最大数を拡張し、内蔵Radius管理数やMACアドレスリスト数を拡張した。また、有線LANのDHCPクライアントに影響を与えることなく、無線端末のみのDHCPでアドレスを配布する機能などを追加している。

 また、各製品とも運用性を向上するさまざまな機能がアップデートしている。各製品の11月13日現在のファームウェアバージョンは以下の通り。

* RTX5000/RTX3500 Rev.14.00.13
* RTX1210     Rev.14.01.09
* RTX810      Rev.14.01.25
* WLX302      Rev.12.00.16

 ファームウェアによる機能アップデートは非常に多岐にわたっていることから、詳細についてはヤマハのサイトを参照していただきたい。

これからのヤマハのネットワーク製品

 IDCジャパンの調査によれば、ヤマハは国内SOHOルータ市場において11年連続で1位シェアであるという。しかし、同社のネットワーク製品事業は、この20年で当初のコンシューマあるいはSOHO向け市場から、SMB向けの市場へとフォーカスが移っているように見える。

 クラウドサービスの普及などによって、企業ネットワーク環境は非常に速い速度で変化している。同社は今後もユーザーの声に耳を傾けながら、「壊れず、役に立つ」製品の提供を目標としていくことだろう。

 なお、ヤマハはユーザーの相互コミュニケーションを行う場として「YNE:ヤマハネットワークエンジニア会」を展開している。YNEではエンジニア間の情報交換のほか、遠隔地から実機を操作できる検証環境を用意したり、ヤマハのネットワーク機器のTipsをドリル形式学習できるコンテンツなども用意しているという。

 YNEにはヤマハのエンジニアも個人で参加しており、ユーザーと積極的に情報交換を行っているという。なお、YNEは特に入会資格などは設けておらず、入会は無料となっている。

ヤマハネットワーク製品のユーザーコミュニティ:YNE

北原 静香