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米Microsoft、サティア・ナデラCEOが基調講演で「デジタル変革」への進展示す

パートナーカンファレンスをカナダ・トロントで開催

 米Microsoftは、2016年7月11日~14日(現地時間)、カナダ オンタリオ州トロントのMetro Toronto Convention CentreおよびAir Canada Centreにおいて、同社最大のパートナーイベント「Microsoft Worldwide Partner Conference 2016(WPC 2016)」を開催している。

 全世界144カ国から約1万6000人のパートナーが参加。今年は開催以来初めて、すべてのチケットが完売したという。また約4割が初参加となり、Microsoftのパートナー戦略に対して高い関心が集まるとともに、新たなパートナーの参加が際立つイベントとなった。

 日本からは150社384人が参加。そのうち、32社41人が初参加の企業だ。

カナダ・トロントで開催されているWPC 2016
パートナー企業から1万6000人が参加した

 今年のWPC2016は、「Your Path to Opportunity」をテーマに、「Profit」「Transform」「Differentiate」「Collaborate」「Lead」の5つのカテゴリでセッションを構成。クラウドビジネスの利益性をどう高めるのか、継続的なビジネス成長のための新たな機会はどこにあるか、パートナーシップの重要性など、変化する市場にあわせていかにパートナーがトランスフォーメーションを行うのか、といったことにフォーカスした内容になるという。

基調講演の会場となったAir Canada Centre

Microsoftはパートナービジネスを主軸にした会社

 初日となる7月11日午前8時30分から行われた基調講演では、米Microsoftのサティア・ナデラCEOが登壇。「Microsoftは、パートナービジネスを主軸にした会社。パートナーがいなければ、このような成功はない。パートナーの情熱、コミットメントがMicrosoftの力になっている。最高のパートナーエコシステムを構築できていることに、心から感謝する」と切り出した。

米Microsoftのサティア・ナデラCEO

 ナデラCEOは、デジタルトランスフォーメーションについて触れ、「多くの企業が、デジタルが生み出す成果に期待している。また、GDPの構成要素のすべてがデジタルになっている。ここに我々の勝機がある。デジタルトランスフォーメーションは、『プロダクティビティとビジネスプロセス』『インテリジェントクラウド』『革新的なパーソナルコンピューティング』の3つによって実現されるものである。そして、変革の中心にあるのはデータである」とし、これらの3つの観点から、いくつかのデジタルトランスフォーメーションの事例を紹介してみせた。

デジタルトランスフォーメーションの3つの観点

 プロダクティビティとビジネスプロセスの取り組みのひとつとして取り上げたのが、先頃、発表したばかりのDynamics 365である。

 「クラウド化によって、Office 365で実現してきた、どこでも使える環境が、Dynamics 365で実現されることになる。マイクロサービスやビジネスアプリケーションが利用でき、ビジネスモデルの変革を支援することになる。これもデータを中心とした変革を促すものになる」などとし、「Power BIやFlow、Graphといったパワーを生かし、デジタルフィードバックループを作ることで、データを有効に活用することができる」と述べた。

講演では発表したばかりのDynamics 365にも触れた

 また、サービスやアプリを提供する新サービス「App Source」についても言及。「ここでは、Cortanaのインテリジェントサービスも提供することができる。これらを活用することで、ソリューションを作ることができ、すべての顧客がこれを活用することで、インテグレーションのコストを削減したり、ビジネスアプリを通じてデジタルトランスフォーメーションを実現しやすくする」などと述べた。

 さらに、ナデラCEOが最近の講演で必ず触れている「Conversation as a Platform」については、次世代のプラットフォームと位置づけながら、「いまのコンピューティング環境は、OSを学習したり、個々のアプリを学習してから使用する必要があるが、Conversation as a Platformでは、人間に話すように、コンピュータに音声で語りかけて、アプリが簡単に使えるようになる。いまでは、アプリを開発している人たちやウェブサイトを作っている人たちが、新たなインターフェースとしてBotを使いはじめている。なかでも特別なBotといえるのが、Cortanaである。あなたのことを知っており、会社のことを知っており、さらに、世界のことも知っている。アプリをCortanaにつなげてほしい」と、Cortanaをアピール。

 続けて、「一方で、このほど、SkypeにプラグインできるSkypeのBodフレームワークを発表した。これは、すべてのConversation as a Platformに統合できるものとなる。Botのスキルをアプリなどに組み込むことで、コンピューティングの新たな世界を実現でき、これが世界を大きく変える原動力になる」とした。