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次世代コンピューティングかけたレース Magic LeapとMicrosoftのARプラットフォーム

次世代コンピュータのユーザーインターフェイス

 Microsoftは、今年初めのWindows 10のイベントで、ホログラムコンピュータ「HoloLens」を初めて披露。その後、今月のプレスイベントでは、HoloLens開発キットを3000ドルで2016年第1四半期に出荷すると発表した。

 HoloLensのデバイスは既に詳細が明らかになっている。ゴーグルの付いたヘッドマウント型で、CPU、GPUのほかにHPU(holographic processing unit)の3種類のチップを内蔵。外部にコンピュータを接続することなく単独で動作する。

 またプレスイベントでは、HoloLensプラットフォームを使ったシューティングゲーム「Project X-Ray」のデモ映像も公開した。現実の部屋の中に、サソリのような不気味な敵ロボットが次々と現れ、迫ってくるのを手に持った武器で打ち倒していくゲームだ。Magic Leapの最初のシューティングゲームのデモ映像ともよく似ている。

 Microsoftは昨年、人気ゲーム「Minecraft」を開発するMojangを25億ドルで買収しており、HoloLens版Minecraftの提供も表明している。だが、ゲームはHoloLensの一部にすぎない。Microsoftは、プロ、ビジネスユーザーも対象としており、専用の3Dモデリングアプリケーション「HoloStudio」で3D CADの分野にも狙いをつけている。

 また、Skypeと連携したアプリケーションで、遠隔地のユーザーと同じものを見ながらコミュニケーションすることもできる。これを応用したNASAとの共同プロジェクト「Sidekick」は、宇宙飛行士のHoloLensからの映像を共有して地上から指示を出したり、現実の作業場所にマニュアル動画を重ねて見せたりするものだ。

 Microsoftは、HoloLens技術を次世代のコンピュータのユーザーインターフェイスそのものにすることを目指している。いずれは、ディスプレイとマウスとキーボードを置き換えるものという位置付けだ。Windows 10の標準APIとして組み込むこともそれを示している。

 Magic Leap側も同様の考えのようだ。「Magic Leapのユースケースは当初はゲーム、エンターテインメント、メディア、コミュニケーションにフォーカスするだろう。だが、マーケットは時とともに広がっていくだろう。われわれはゲーム会社をつくるつもりはない」とAbovitz氏は語る。

 また、Abovitz氏は「未来のコンピュータは革命的であり、どんな既存のシステムでも良さを発揮できない。ストックOSは使えないのだ。だから、われわれは、それを作らねばならない」と協調した。

 ARのOSはWindowsではないと言わんばかりだ。

(行宮翔太=Infostand)