Infostand海外ITトピックス

次世代コンピューティングかけたレース Magic LeapとMicrosoftのARプラットフォーム

エクスペリエンスはMagic Leapが優位?

 ARレースはまだこれから始まるといえる。甲乙を付けるには少々気が早いが、Tech Insiderのシニアエディター、Ben Gilbert氏は、Magic Leapは、HoloLensに対して大きなアドバンテージを持っていると言う。HoloLensでの「視野の狭さ」が問題というのだ。

 実際、HoloLensシステムを体験したライターやアナリストは一様に、視野が狭くて「頭を動かさないとオブジェクトの全体が見えない」ということを不満に挙げた。TechRadarは、窓の大きさを「3~4インチ四方」と述べており、これを外れた部分ではオブジェクトはぼんやりと見えるという。

 Gilbert氏は「人間の視野は約180度あり、HoloLensのヘッドセットで見るには広い。実のところ、HoloLensでは、ヘッドセットの小さな窓を通してしかARを見るができない」と述べる一方で、Magic Leapには視野の制限はなく、「ユーザー自身の目に見える視野は全部見える」と優位を指摘。その原理をMIT Technology ReviewのエディターRachel Metz氏の解説から紹介している。

 「Magic Leapは、透明なレンズに向かって光る小さなプロジェクターを持っていると言ってもいいだろう。このプロジェクターは光を網膜に偏光させる。光のパターンが、現実の世界から受け取っている光と非常にうまくブレンドされているため、人の視覚野には、人工のオブジェクトが実際のオブジェクトとほとんど区別がつかないのだ」

 Microsoft側もこの不満を認識しているようだ。The Vergeによると、今年6月のE3(Electronic Entertainment Expo)で、Microsoft Game Studioのトップを務めるKudo Tsunoda氏が「ハードウェアは最終版ではなく、どこも完全になっているわけではない」として改良を約束したが、同時に「周辺まで全部を見られるようにはならないと思う」とも述べている。

 今のところ、ARプラットフォームは2社を中心に動いているが、次世代のユーザーインターフェイス競争となると、他社も黙っていないだろう。

 9to5Macなどは8月末、AppleがHoloLensチームのエンジニアを引き抜いたと報じた。今年5月にはTechCrunchが、AppleがAR企業のMetaioを買収していたと報じるなど、ARがらみのうわさが根強い。AppleのARもぜひ見てみたい気がする。

行宮翔太=Infostand