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Microsoftは昔と違う? Googleとの特許訴訟終結に見る変化

 クラウド、OS、検索などのサービス、生産性ソフトウェアと多方面で競合関係にあるMicrosoftとGoogleが、係争中の特許訴訟を相互に取り下げることで合意したことが明らかになった。このニュースはスマートフォン分野をはじめとしたハイテク業界の特許訴訟がひと段落したことを裏付けるとともに、新CEO、Satya Nadella氏の下で、対立から協調へと路線変更する新しいMicrosoftにもスポットを当てた。

過去5年間の特許訴訟を取り下げ

 両社の特許訴訟和解は、Bloombergが最初に9月30日付で報じた。MicrosoftとGoogleは米国とドイツで係争中の特許訴訟約20件を取り下げることで合意したという。

 対象の特許は、2010年10月にMicrosoftがMotorolaを訴えたのを発端とするものだ。MicrosoftのターゲットはMotorolaがスマートフォンOSに採用していたAndroidで、メールや連絡先の同期機能、電波強度とバッテリー情報をアプリ側に通知する機能などが自社特許を侵害している、とMicrosoft側は主張した。

 Motorola側はその翌月反訴し、MicrosoftがWeb動画や無線通信に関する特許を侵害していると主張した。製品としては、MicrosoftのWindows OSとサーバー、モバイルOS「Windows Mobile」、ビデオゲーム機「Xbox」など多岐にわたる。

 Googleは2011年にMotorolaを買収したが、訴訟はそのまま継続した。Googleは2014年にMotorolaをLenovoに売却したが、特許の多くはGoogleが維持した形となった、ちなみに、Motorola買収にGoogleは最大の買収額にあたる125億ドルを支払ったが、Lenovoへの売却金額は29億ドルと100億ドル近い差額がある。当初からMotorola買収の狙いについてさまざまな見方があったが、結果としてGoogleが得たのはMotorolaの特許だったということになる。

 その後も、係争状態は地域を広げながら続いていた。今回これをすべて終結させる。両社の共同声明によると、それだけでなく特許など知的所有権に関する分野での協業を進めるという。取り組みとしては、ロイヤルティーフリーの動画圧縮技術の開発を進めること、欧州で特許法に関連したロビー活動を行うことなどを挙げている。両社は合意についての財務関連情報は明らかにしていない。

 ロイヤルティーフリーの動画技術については、両社は既に9月にAmazon、Netflixらと「Alliance for Open Media」を発表している。欧州連合で進んでいる特許法の見直しに対し、製品やサービスを持たず、特許を根拠に特許ライセンスや賠償金を狙う“パテントトロール”が訴訟を起こしにくくするためのロビー活動を進めるようだ。

(岡田陽子=Infostand)