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クラウドでBIを Amazonの新サービス「QuickSight」

 パブリッククラウド市場に君臨するAWS(Amazon Web Services)がビジネス・インテリジェンス(BI)に参入する。10月5日から5日間開催した年次イベント「re:Invent 2015」で、新サービス「QuickSight」として発表した。BIは新しいものではないが、いまだに普及や活用という点で課題が多い。IBM、SAPなど大手エンタープライズベンダーがひしめくBI市場をAWSはどう攻略するのだろう。

AWS上のデータから洞察を得られる

 QuickSightは、AWS上にあるデータから洞察を得ることができるサービスで、高速、使い勝手のよさなどを特徴とする。データソースとしては、Amazon Redshift、Amazon Relational Database Service(RDS)、Amazon Aurora、Amazon EMR、Amazon DynamoDB、Amazon Kinesis、Amazon S3などのAWSのサービスに加え、MySQL、Oracle、SQL Server、PostgreSQLなどの外部サービスも利用できる。さらには、コネクタを経由してSalesforceなどとの連携も可能という。

 高速性では「SPICE」(Super-fast, Parallel, In-memory Calculation Engine)と呼ぶAWS独自開発の処理エンジンによって、1秒でデータのビジュアル化を行うという。データを検知して接続の準備をし、表と列を選択すると適当なグラフを推奨するなどの使い勝手のよさも備える。

 価格はStandard Editionが月間1ユーザー12ドル、年間契約の場合は同9ドルとなる。SPICEストレージは10GBまで無料。超過分は1GBあたり月間0.25ドルが追加となる。月間1ユーザー24ドル/年間契約で18ドルのEnterprise Editionも用意する。これは、既存のBI製品の10分の1だとAWSは主張している。

 QuickSightはまず限定的に提供を開始し、2016年に全世界に拡大する計画だ。

 AWSはこれに合わせ、オンプレミスにあるデータのAWSクラウドへの移行を支援する「AWS Import/Export Snowball」も発表した。2009年に発表した「AWS Import/Export」の強化版となり、物理アプライアンスとして提供する。

 10TB以上のデータをS3などのAWSクラウドに移行させたい顧客向けで、10Gbネットワーク接続、コントロールパネルなどを備えた22.7kgのボックスに、ジョブとしてデータの移行を行う。完了したらアプライアンスをAWSに送るだけで済む。AWS側でアプライアンスにあるデータセットを読み込んでくれるという。データは暗号化されており、障害に対する耐久性も備える。

(岡田陽子=Infostand)