Infostand海外ITトピックス

仮想JVで中国市場進出 Webサイト性能改善技術のCloudFlare

 世界最大の電子商取引市場であり、ネット人口が増加の一途をたどる中国。ハイテク企業にとって魅力的な市場だが、国外企業にとっては、政府の規制など参入障壁が大きい。その中国にセキュリティやWebサイトの性能改善サービスを提供する米ベンチャー企業CloudFlareが、Baidu(百度)と提携する形で参入していたことが明らかになった。中国市場をにらむ米国企業にとって新しいモデルとなるかが注目される。

中国内外の“高速レーン”

 CloudFlareとBaiduの提携は、まずNew York Timesが9月13日付で報じた。それによると、CloudFlareは2014年7月にBaiduと事業提携を結び、同年12月には運用に入っているとのことだ。CloudFlareが実現したのは、中国のインターネット環境ならではのサービスだ。

 万里の長城(Great Wall)にちなんで「Great Firewall」と呼ばれる中国政府のネット検閲は、中国と国外との間でフィルタリングなどを行うためトラフィックが遅くなるという問題を招いている。BaiduとCloudFlareは、この問題への解決策を提供するものだ。

 仕組みは、CloudFlareが持つWebサイトの高速化などの技術とBaiduが中国内17カ所に持つデータセンターネットワークを組み合わせ、国内外のトラフィックの性能を最適化し、Webサイトの読み込みを高速にする。一種の「“高速レーン”を作る」ものだという。

 これにCloudFlareが中国外でグローバルに有する45のデータセンターを統合し、「グローバルレベルでCloudFlareのファイアウォール、負荷分散、WAN最適化、DDoS攻撃対策、コンテンツデリバリー、DNSサービスを実装できる。しかもハードウェアは一切不要だ」とCloudFlareは説明する。

 高速レーンは「Baidu Yunjiasu(百度云加速)」というサービス名で2014年12月に提供を開始。既に顧客は45万を数え、月間ページビューは570億件に達しているという。8月単月で同国のネットユーザーの約3分の1に相当するという約2億700万人の中国の利用者の要求を処理している、とNew York Timesは伝えている。

(岡田陽子=Infostand)