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AI対応データセンターの次世代エネルギーマネジメントを電源・冷却・デジタルのイノベーションで牽引

AIワークロードの爆発的な増大とGPUの進化・高密度化により、データセンターを支える給電・冷却・運用のすべてが従来の設計では立ち行かなくなりつつある。その変革の時代にあって、電力・冷却・デジタルソフトウェアを統合したエンドツーエンドのAIデータセンター基盤を提供しているのがシュナイダーエレクトリックだ。日本法人のキーパーソンに、同社の製品戦略について聞く。

シュナイダーエレクトリック株式会社クラウド&サービスプロバイダー事業部 キーアカウントマネージャー 須田 拓真氏

AIデータセンターのエネルギー効率を最大化するために

 シュナイダーエレクトリックは、エネルギーマネジメントと産業オートメーションを両輪とするグローバル企業だ。2025年のグループ売上高は402億ユーロ(約7兆4,000億円)で、オーダー(受注)の30%はデータセンター向けソリューションが占める。

 同社が特に注力しているのが、AIの爆発的普及を背景にデータセンターが直面する課題の解決だ。同社の日本法人でクラウド&サービスプロバイダー事業部キーアカウントマネージャーを務める須田 拓真氏はこう説明する。

 「AIワークロードの急増とGPUの高性能化・高密度 化により、IT設備の要求電力密度と発熱量が増大し、データセンターの電源・冷却の仕組みにドラスティックな変革が求められています。当社では、AI対応データセンター(以下、AIデータセンター)のエネルギー効率を最大化する次世代ソリューションの提供に注力しています」

AI時代の大容量給電を支えるイノベーションを推進

 同社のAIデータセンターソリューションは、電源装置、冷却、データセンターの設計・運用を効率化・自動化するデジタル化という3つの柱から成る。

 電源装置の中核は、省スペース設計と高い拡張性が特長の三相無停電電源装置(三相UPS)「Galaxy」シリーズだ。最新機種「Galaxy VXL」は設置面積1.2平方メートルのコンパクト設計ながら、モジュール方式で500 ~1250kWの電力容量に対応する。

 「省スペースで大量給電が可能な点で、GalaxyシリーズはAIデータセンターに適したUPSです。瞬間的な電力使用量の急増(=電力スパイク)にも対応でき、負荷変動が激しいAIワークロードの運用にも向いています」(須田氏)

 同社は、サーバーラックの要求電力のさらなる増大に備えた新たな仕組みも開発中だ。

 「GPUの高密度化により、サーバーラック1台の要求電力はすでに200kW程度まで増えており、近い将来1MW(1000kW)に達する見込みです。250kW程度までなら電源ケーブル8本程度でUPSから給電できますが、 1MWになるとケーブルが20 ~30本程度必要となり物理的に敷設できません。そこで、ラック脇に『サイドカー』と呼ばれる装置を設置し、交流400Vで受電した電力を直流800Vに変換して直接給電する仕組みを開発しています。サーバー内部での段階的な電力変換が不要になるため、ラックで使える容量が一気に増えます」(須田氏)

 将来的には、直流・交流の変換を最小限にしたアーキテクチャとして、UPSから直流800Vを直接出力する構成が、業界でも想定されているという。

多様な冷却ニーズに豊富な製品ラインアップで対応

 同社は、AIデータセンター向け冷却ソリューションとして、近年ニーズが急拡大する液体冷却(以下、液冷)を提供している。ラインアップは、チップ直接冷却のコールドプレートをはじめ、冷却液分配装置(Coolant Distribution Unit:CDU)、ラックリアドア空調機(Rear Door Heat Exchanger:RDHX※1)、冷却水循環装置(チラー)などと豊富だ(図1)。

 一方、これらの装置を用いた水冷設備の設計では、冷却水の温度設定が課題となる。須田氏は「パートナー関係にあるGPUメーカーのNVIDIAは、最高45度の冷却水を用いる革新的な全面液冷技術を発表しています。ただし、お客様(データセンター事業者)からは『45度では不安。最大でも37度程度にしたい』『20度でなければ冷やし切れない』など、さまざまな声が上がっています」とし、こう続ける。

 「要求水温が20度なのか、37度なのか、45度かによって、冷却設備の設計は全く異なってきます。45度程度の高温冷却が許容される場合は、冷却設備を簡素化できる可能性がありますが、20度レベルを維持するにはチラーなどの冷却設備が不可欠になります」

 こうした要求温度の不確実性への対応策の1つとして、同社は幅広い送水温度に対応する「フリークーリングターボチラー」を提案・提供している。

 「このチラーから送水する冷却水は幅広い水温に対応可能なので、従来の空冷用途と最新の液冷用途、いずれのシステムにも合わせた柔軟な設計が可能です。将来的な設備設計を確定し切れないお客様にも好評です」(須田氏)

 液冷設備には、既存データセンターへの導入・設置という課題もあり、同社はその解決策としてフロア設置型のHDU(Heat Dissipation Unit)を提案している。HDUは、サーバーラックから回収した熱を空気へ効率的に放散する液冷装置で、冷却液の配管工事なしで導入できる。さらに同社は、事業者から求められることの多い工期短縮への解決策として、電源・空調・液冷設備を一体化したプレハブ型(モジュラー型)のAIデータセンターも提供している。

図1:シュナイダーエレクトリックが提供するデータセンター向け冷却ソリューション

デジタルツインで設備設計・運用を最適化

 3つ目の柱であるデジタル化は、エネルギー効率最大化の要といえる。同社の冷却装置やUPSは各装置にIPアドレスが割り振られ、データの収集・分析や状態監視ができるよう設計されている。このデータを運用改善に生かすDCIM (Data Center Infrastructure Management:データセンター基盤管理)ソフトウェア群が「EcoStruxure IT」シリーズであり、デジタルツインによる運用制御と最適化を実現する「EcoStruxure IT Advisor」や、クラウドベースで物理インフラを監視する「EcoStruxure IT Expert」などをラインアップする。

 同社は、デジタルツインを用いた電力系統解析・設計支援ソフトウェア「ETAP」も提供している(図2)。

 須田氏は「ETAPでは、紙で管理してきた電気図面をすべてデジタルデータとして取り込み、デジタルツインとして再現します。これにより設計値の整合性をデジタル環境で確認でき、運用中はセンサーのリアルタイムデータをもとに障害の予兆分析も行えます」と語り、こうも続ける。

 「ETAPに加え、グループ会社の産業ソフトウェアブランドであるAVEVAとの連携も進んでいます。AVEVAが従来プラント管理などで培ってきた流体解析技術を応用して空調・冷却配管の動きをシミュレートするなど、AIデータセンター基盤の設計・シミュレーション・構築・運用・最適化のサイクルをデジタル環境で資産化できる環境が整いつつあります。こうしたソリューションを電源装置・冷却装置と併せて提供できるのは、エネルギーマネジメントや産業オートメーションで実績を積んできた当社ならではの強みです」

図2:ETAPの画面イメージ

 さらに、NVIDIAとの密接なパートナーシップも、シュナイダーエレクトリックのソリューションをより強固なものとしている。

 「NVIDIAとは、最新GPUと大容量給電・液冷システムを統合したAIデータセンターのリファレンスデザインを共同開発し、定期的に公開しています。ETAPなどには『NVIDIA Omniverse』のデジタルツイン技術も統合されており、 NVIDIAとの協業を通じて、次世代AIデータセンター向けソリューションの開発を加速しています」(須田氏)

 最後に須田氏は、今後の展望を次のように述べる。

 「AI時代にデータセンターが解決すべき究極の課題は、エネルギー効率をいかに高めるかです。ただし、実現に向けてお客様(データセンター事業者)が直面する課題はさまざまで、画一的な製品・ソリューションでは解決できません。当社なら、多彩な装置やソフトウェアを組み合わせ、お客様のご要望に寄り添う形で効率改善のソリューションを提案・提供できます。また、NVIDIAとのグローバルレベルでのパートナーシップによって、業界全体の動向や必要なファシリティの要求レベルをかなり早い段階でキャッチできるメーカーの1社だと自負しています。データセンターの改修・新設を計画されているなら、ぜひご相談ください」

<関連リンク>

シュナイダーエレクトリック株式会社

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