週刊海外テックWatch

Metaの「Muse」が大ヒット 「消費者エージェント経済」の主導権争いが始まる
2026年9月28日 11:29
Metaが提供を開始したパーソナルAIエージェント「Muse」が人気だ。公開から約2週間で米App Storeの首位に立ち、同社の株価も大きく上昇した。一方でAmazonは、Museによる自社サイトでの買い物代行をブロックする措置に出た。Metaは自社イベントでMuseを核として消費者向け製品を大展開することを宣言したが、信頼・セキュリティ面の課題も抱えている。人気と反発が同時に進む背景には、エージェント経済の覇権争いがある。
(岡田 陽子)
「パーソナル・スーパーインテリジェンス」を投入
「今後数年のうちに、Museは世界の数十億人が目標を達成し、生活を向上させるために使うパーソナル・スーパーインテリジェンスへと成長すると期待している」。Meta CEOのMark Zuckerberg氏は、9月23~24日に開催した「Meta Connect」でMuseをこう紹介した。「パーソナル・スーパーインテリジェンス」とは、同氏が2025年7月に打ち出した構想で、一人ひとりを深く理解し、個人の目標達成を支える超知能を指す。Museはその中核に位置付けられる。
Reutersによると、Museは利用者に代わってメールの送信、車の売却、旅行の予約などができるAIエージェントだ。連携できるアプリは、メール、カレンダー、決済、健康管理、ショッピング、スマートホームといったカテゴリーにまたがる。どのアプリと連携させるかは利用者が選び、権限はいつでも取り消せる。
各エージェントはクラウド上の専用仮想マシンで動作するため、利用者が操作していない間もバックグラウンドで処理を続けられる。無料版と、レート制限の上限が高い有料版(月額20ドル、同100ドル)の計3種類が用意されており、まず米国で、専用アプリとメッセージングサービスのWhatsAppを通じて9月8日に提供開始した。
市場はおおむね好感した。SiliconANGLEによると、公開から5日間で73万ダウンロードを超え、9月18日には米国版App Storeの無料アプリで「ChatGPT」を抜いて首位に立った。市場調査会社SensorTowerのデータでは、ダウンロード数は250万を超えている。Metaの株価は9月21日に11%上昇し、公開後2週間での上昇率は20%を超えた。
もっとも、その登場では、ちょっとした“疑惑”も飛び出した。X上で、MuseがオープンソースのAIエージェント「OpenClaw」のファイルをそのまま流用しているのではないかとの声が上がった。TechCrunchによると、人格や振る舞いを定義する設定ファイル「SOUL.md」がMuseにも存在し、中身までほぼ同じとの指摘が相次いだ。
これについてMeta Superintelligence Labs(MSL)のNat Friedman氏は、Museは「ゼロから構築した」としながら、「プロダクトとしてOpenClawに強く着想を得たことは間違いない」と認めている。