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JERA・Dell・RHAELMの3社、発電所直結AIデータセンター整備で覚書を締結 第1号として千葉火力発電所に40万kW級施設を建設へ
2026年10月2日 06:30
発電会社の株式会社JERAと、ITインフラのDell Technologies、AIデータセンターの構築・運営のRHAELM Holdings Ltd.(旧社名:Sovereign AI)の3社は、日本での発電所直結のAIデータセンター整備に向けた基本構想の策定ならびに事業化検討に関する覚書(MOU)を、10月1日に締結した。
さらに、このMOUに基づく第1号案件として、JERA千葉火力発電所(千葉県千葉市)に隣接した敷地内にAIデータセンターを建設することも発表した。2028年から段階的に運転を開始し、2029年に本格運転を開始する予定だ。なお、米国の大手資産運用会社であるアポロ・グローバル・マネジメントも、RHAELMの戦略的投資・資金調達パートナーとして参画する予定。
同日、MOUの締結式と記者会見が開催された。
3社で標準モデルを作成、第1号案件は千葉火力発電所の40万kW規模のデータセンター
MOU締結と、JERA千葉火力発電所のAIデータセンターの計画については、記者会見において、JERA株式会社の原田勇翔氏が説明した。
背景として、日本での大規模なAIインフラ開発における課題について、原田氏は、「大電力系統への接続や新たな電源の確保に長い時間を要すること」「電力、データセンター、冷却設備、AIコンピューティングなど、異なる分野の設計と開発を統合することの難しさ」「案件ごとに個別設計、個別調達が行われ、開発期間が長期化しやすいこと」の3点を挙げた。
中でも電力については、ハイパースケーラーでは「Speed to Power(電力供給の早さ)」が求められる。一方で、電力会社では高品質・高信頼性を重視していることにより、発電設備や電力設備が大型化し、数年をかけて建設する形が主流となっているという。なお一般に、AIデータセンターが求める特別高圧電力については、供給に5年以上かかるとも言われている。
今回のMOU締結により、3社がそれぞれの強みを持ち寄り、この課題の解決を目指す。
3社の協業を原田氏は「Molecule to Token(エネルギーの源である分子から、AIアウトプットまで)」と表現した。JERAが電力供給と開発用地の確保を担当し、RHAELMがデータセンターの建設から運営までAIインフラプロジェクト全体を担当し、Dell TechnologiesがサーバーなどのラックスケールAIインフラを担当する。
3社は、それぞれ専門家を出し合ってワーキンググループを設置し、こうしたAIインフラの迅速で大規模な展開を可能にする標準モデルを共同で検討する。
「今回のMOUでは、発電設備、変電設備、開閉設備などについても標準化・モジュール化を検討し、可能な限りデータセンター設備と整合したスケジュールで製造し納入できるモデルを目指す」と原田氏。「ここで得られたモデルを、日本の他の地点にも展開していく。さらに、各国の事情や制度に合わせながら、海外にも展開できるモデルへと発展させていく」。
その第1号案件となるのが、千葉火力発電所データセンタープロジェクトだ。発電所に隣接した敷地内にAIデータセンターを建設する。これにより、土地の確保や、電力系統接続に要する期間を短縮する。
電力規模は最大40万kWで、中国を除くアジアで最大級の規模となるという。2028年から段階的に運転開始し、2029年には40万kW規模の本格運転を開始する。
この千葉での協業で得られた知見も、3社による標準モデルに取り込んで、より実用的なモデルに改善していくという。
今後JERAとRHAELMは、JERAの国内26カ所の火力発電所の中からスクリーニングして展開を検討。2030年代には、日本全体で合計数百万kW規模のAIデータセンターの実現を目指す。
3社トップと髙木経済産業副大臣が期待を語る
MOU締結の記者会見には3社のトップが登壇。さらに来賓として、経済産業副大臣の髙木啓氏も登壇し、あいさつした。
株式会社JERAからは、可児行夫氏(代表取締役会長 Global CEO)が登壇した。3カ月前に、この3社で会って、「AIデータセンターの設備と契約、運用モデルまで標準化し、より早く、より大規模に展開していく必要がある」との考えで一致したというエピソードを語った。
RHAELMからはBradd Lewis氏(CEO兼最高収益責任者)が登壇した。AIを大規模に展開するには、信頼性と、大規模インフラのための大規模電力が必要だと説明。そのためには、パートナーシップによって競争力を得ることが大事だと語った。
Dell TechnologiesからはMichael Dell氏(会長兼CEO)が動画メッセージで登場した。大規模なAIを実現するには、電力、冷却、ネットワーク、コンピューティング、ストレージなど、必要な機能が構想段階から一体となって機能する必要があるとして、その実現には標準化され再現可能なモデルが必要だと語った。
経済産業副大臣の髙木啓氏は、「人口減少による構造的な人手不足に直面するわが国が、今後も国民生活の水準を維持し生産性や産業競争力を向上させるには、AIをはじめとするデジタル技術の活用を全国で、あらゆる産業で進めることが必要」として、「AI稼働には大規模な計算資源の確保が不可欠であり、データセキュリティにはそれらが国内にあることが重要」と述べた。
また今回の3社の取り組みについては、「日本企業とグローバル企業の知見を組み合わせることで、既存の電力インフラの活用や設計・工事の標準化を通じて、データセンターをはじめとする大規模電力需要について、国内立地のさらなる加速化を目指す、意義深い取り組みと認識している。日本経済のさらなる成長、さらには海外への展開につながることを期待している」と語った。