NTTデータグループと楽天がアジャイル開発人材育成プログラムを共同開発
2012年11月2日
株式会社NTTデータ
株式会社NTTデータユニバーシティ
楽天株式会社
株式会社NTTデータ(本社:東京都江東区、代表取締役社長:岩本 敏男、以下NTTデータ)と株式会社NTTデータユニバーシティ(本社:東京都目黒区、代表取締役社長:家田 武文、以下NTTデータユニバーシティ)、楽天株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役会長兼社長:三木谷 浩史、以下楽天)は、NTTデータグループおよび楽天グループの社員を対象としたアジャイル開発人材育成プログラムを共同で開発し、2012年12月より各社社員向けに同プログラムを利用した研修を開始します。
ビジネス環境の変化が早い現代では、お客さまにとっての価値創出のために、ニーズに合致したITシステム・サービスを少しでも早く提供していくことが求められています。このため、アジャイル開発手法の重要性がより増していくことが見込まれ、アジャイル開発人材の育成は急務といえる状況です。
そこで、アジャイル開発分野のプロジェクトマネジメントにおいてノウハウを持つNTTデータグループと、アジャイル開発の導入が進んでいるインターネットサービス分野において多様な事業開発実績のある楽天は、共同でアジャイル開発人材育成の研修プログラムを開発・運営することとなりました。
開発する研修は、開発現場のノウハウを盛り込んだ、より実践的な研修にすると同時に、NTTデータグループと楽天という、分野の異なる企業の社員同士が同じ研修を受講し、議論することで、ノウハウ習得のみならず、発想の多様性を持った人材の育成を目指します。NTTデータとNTTデータユニバーシティ、楽天は本研修の開発を皮切りに、今後もさらなる研修メニューの拡充を進め、他IT企業への外販も視野に入れながら、アジャイル開発人材育成に共同で取り組んでまいります。
■背景アジャイル開発とは、システム開発対象を多数の小さな機能に分割し、短い期間で動作するソフトウエアを漸進的に開発していく開発手法です。従来のウォーターフォール開発とは大きく異なるため、アジャイル開発を実践する上では、新しい知識・スキルが必要となります。
これまで欧米を中心に普及してきたアジャイル開発は、米国IT企業のソフトウエア開発における採用率で30%を超えるなど、欧米では最も利用されている開発手法となっています注1。昨今では、日本国内でも、インターネットサービス分野やゲーム開発分野などを中心に多くの開発事例が見られるようになってきましたが、IT業界においてアジャイル開発は十分に普及しておらず、早急なアジャイル開発人材の拡大が求められています。
このようなIT業界の現状をふまえ、独自にアジャイル開発人材育成における取り組みを行ってきたNTTデータグループと楽天は、このたび両社社員を対象としたアジャイル開発人材育成に着手することとなりました。その第一歩として今回、これまでの両社のアジャイル開発人材育成の経験・ノウハウや、アジャイル開発実践を通じて培った、NTTデータグループの持つプロジェクトマネジメントのノウハウ、楽天の持つ事業開発のノウハウを組み合わせることで、実践的ノウハウを盛り込んだ付加価値の高いアジャイル開発研修の開発に取り組みます。
■実施内容アジャイル開発の代表的な手法の一つである「Scrum開発手法」注2において、必要不可欠な意思決定責任者である「プロダクトオーナー」注3育成のための研修の開発を開始します。
開発にあたっては、NTTデータと楽天が研修コンテンツの開発を、NTTデータユニバーシティが研修サービスの運営を担当します。
これまでのアジャイル開発手法の研修のみならず、アジャイル開発におけるプロダクトオーナーの責任や役割、振る舞いを理解・習得した人材を育成することで、ビジネス環境の変化に迅速かつ柔軟に対応可能なソフトウエアの開発を実現できる人材の創出を目指します。
■今回開発する研修について
■研修目的
・Scrum開発手法におけるプロダクトオーナーの役割と振る舞い、責任について理解させる。
・ビジネス価値の高いプロダクトを迅速かつ柔軟に開発する手法を、体験を通じて理解させる。
・自組織の新規ビジネスの創出業務にプロダクトオーナーとしてのスキルを活用できる人材を育成する。
NTTデータグループおよび楽天グループの、主に新規サービス企画立案に携わる社員
■研修期間1回2日間
2012年12月~開始。2013年3月末までに2回実施予定。
・ソフトウエアの責任者としてのプロダクトオーナーの役割に関する講義、実践演習
・ビジネス価値の高いソフトウエアの企画方法に関する講義、実践演習
・最適な開発計画に関する講義、実践演習
・自組織へScrumを導入するためのグループ討議
・1クラス1回30人を対象に実施
NTTデータとNTTデータユニバーシティ、楽天は、2012年度ではNTTデータグループと楽天グループであわせて60名、2013年度には180名の社員への研修実施を目指します。また3社は今後、Scrum開発手法の研修の充実をはじめとして、アジャイル開発人材の育成を強化していきます。
また、将来的には本研修を、NTTデータグループ、楽天において実施した結果のフィードバックを経て、他IT企業への外販も視野に入れて検討していきます。
■NTTデータグループのアジャイル人材開発に関する取り組みについてNTTデータグループでは、グローバル展開を加速する顧客企業を世界中でサポートするため、世界をカバーする開発体制を整備しており、グローバルデリバリーモデルの推進に向けた、効果的な開発手法の確立とその人材育成が急務となっています。このような状況を背景に、NTTデータグループではグローバルデリバリーモデルを推進する中で、効果的な開発手法としてアジャイル開発手法の確立とアジャイル人材の育成に、2012年5月より若手リーダー層を対象とした、アジャイル開発プロセスの研修を開始し、また、2012年10月よりアジャイルプロフェッショナル人材を育成するための拠点をインドに設置するなどの取り組みを行っています。
■楽天のアジャイル人材開発に関する取り組みについて世界一のインターネットサービス企業を目指す楽天では、スピーディーに世界規模の事業展開を進めるため、また、国内でのお客様満足度の高いサービスを迅速に提供するため、よりアジャイルに特化した開発体制の強化を全社的に進めています。マネージャー向け、チーム向けのアジャイル研修の整備、チームへのアジャイルコーチ派遣といった一般的なアジャイル適用の施策のほか、海外の楽天グループ各社での実地研修や、海外カンファレンスへの派遣を進めるなど、世界標準の開発技術と知見の吸収を積極的に進めています。
■注釈注1 出典
独立行政法人情報処理推進機構 技術本部 ソフトウエア・エンジニアリング・センター"非ウォーターフォール型開発の普及要因と適用領域の拡大に関する調査"
注2 Scrum(スクラム)開発手法
アジャイル開発の一つです。スプリントと呼ばれる1週間から1カ月の短い期間で、動作するソフトウエアを漸進的に開発していくことで、顧客ビジネスにとって価値の高いソフトウエアを早期に顧客へ提供することを可能とするフレームワークです。シンプルでわかりやすいという特徴を持ち、欧米におけるアジャイル開発において最も採用されている手法であり、近年、日本国内においてもさまざまな企業にて採用されつつあります。
注3 プロダクトオーナー
Scrumにおける役割の一つで、ソフトウエアの総責任者です。お客さまの意志の代表としての役割を担うとともに、ビジネスの視点(ROI等)において、お客さまにとってのソフトウエアの価値を最大化する責任と役割を果たします。
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