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シスコ、次世代ハイパーコンバージドインフラ「Cisco HyperFlex」を国内提供

 シスコシステムズ合同会社(以下、シスコ)は11日、都内においてハイパーコンバージド インフラストラクチャ「Cisco HyperFlex」の国内提供を発表し、プレス向けの説明会を開催した。

 同社はHyperFlexを「次世代のハイパーコンバージドシステム」と位置づけており、同社がこれまで展開してきたCisco Unified Computing System(UCS)を進化させ、統合管理ツール、コンピューティング、ハイパーバイザー、ストレージ、ネットワークといったデータセンターインフラを集約し、よりシンプルにしている。

Cisco HyperFlex

 HyperFlexの最大の特徴と言えるのは、SpringpathからOEM提供されている、「Cisco HXデータプラットフォーム」と呼ばれるストレージの管理機能だ。全ノードに同時にデータをストライピングすることで、SSDキャッシュを活用した高速書き込みを可能にし、ダイナミックなデータ分散を実現する。さらにデータの重複排除や圧縮、スナップショットといった管理機能も提供されている。

ダイナミックなデータ分散を実現するCisco HXデータプラットフォーム

 「HyperFlexは、次世代ハイパーコンバージドのために一から作ってきた仕組み」と述べる、米Cisco コンピューティングシステムプロダクトグループ プロダクトマネージャーのチャクリ・アヴァラ氏は、「これまでのハイパーコンバージドインフラはネットワークとの統合が十分ではなく、ソフトウェア定義型ネットワーキング(SDN)のサポートも組み込まれていない。しかしHyperFlexでは、統合的なネットワークファブリックを提供する」と述べ、ネットワーク機器ベンダーとしてのシスコのアドバンテージもアピールした。

米Cisco コンピューティングシステムプロダクトグループ プロダクトマネージャーのチャクリ・アヴァラ氏

 HyperFlexは管理ツールとしてvSphere vCenterに統合されており、シスコの管理ツールである「Cisco UCS Manager」はvCenterのプラグインとして利用できるようになっている。また、vCenterをはじめとするソフトウェアがセットアップされた状態で出荷されるため、「60分以内にセットアップをすべて完了できる」とアヴァラ氏は述べている。

 昨今はハイパーコンバージドインフラは注目を集めており、各ハードウェアベンダも次々と参入している。シスコ データセンター/バーチャライゼーション事業 部長 石田 浩之氏は「全世界でハイパーコンバージドインフラの市場は高成長が見込まれている。2020年までには平均年間成長率60%、次の12年間で380億ドルまでの成長を予測している。そのほとんどが従来型のネットワークストレージからのマイグレーションによる成長だ」と述べる。また、日本においてもハイパーコンバージドインフラ市場は、2014年から2015年にかけて220%と急速な成長を遂げている。

 さらに石田氏は「多くの企業はインフラコストを削減したいと考える一方で、ビジネス要求に迅速に対応できるインフラを必要としている。いきなり大きなインフラを導入するのではなく、スモールスタートへの要求が高まっている。HyperFlexは最小で3ノードから導入可能で、価格も挑戦的」と述べた。

 HyperFlexの適用先としては、「VDI、リモート拠点、サーバ仮想化、ソフトウェア開発環境などを想定している」としたが、ほかにもITインフラのスモールスタートを検討している企業や部門にとって、選択肢の1つになる得るだろう。

シスコ データセンター/バーチャライゼーション事業 部長の石田浩之氏

 HyperFlexには、3つのシステム構成パターンが用意されている。(1)1Uのラックサーバー「HX220c」にUCS Fabric Interconnect(FI)を組みあわせたエントリー構成、(2)2Uの「HX240c」にFIを組み合わせた汎用容量構成、(3)汎用容量構成にブレードサーバー「B200M4」を組み合わせたハイブリッド構成だ。いずれの構成でも最低ノード数は3ノードからとなっている。また、搭載するメモリやストレージの容量をカスタマイズすることも可能だ。

 参考価格は、エントリー構成HX200c x 3台(CPU:E5-2630 V3 x 2、メモリ:256GB、SSD:480GB x1 120GB x 1、HDD:1.2TB x 6)、FI 6248 x 2台に、HXデータプラットフォームなどの1年分のサブスクリプション料金を含めて、677万円~。ただし、vSphere、vCenterライセンスや保守費用は含まれない。vSphereのライセンスはシスコで一括して購入可能であるが、すでにライセンスを保有している場合には既存のものをそのまま利用することもできる。

HyperFlexエントリー構成
シンプルなケーブリング
背面

 なお、今回のHyperFlexの発表にあわせて、シスコでは新しいデータセンタースイッチ「Nexus 9000」も発表した。従来の40Gスイッチと同程度の価格で100Gネットワーク環境を実現できるという。

北原 静香