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EMCジャパン、ストレージとクラウドの統合を実現する新製品群を発表

データ管理へのハイブリッドアプローチを推進

EMCジャパン マーケティング本部 部長の渡辺浩二氏

 EMCジャパン株式会社は12月8日、データ保護ストレージとプライベート/パブリッククラウドとのシームレスな接続を可能にする新製品群として、データ長期保管ソリューションの最新バージョン「EMC CloudBoost 2.0」、Data Domainオペレーティングシステムの最新バージョン「EMC Data Domain OS 5.7」、データ保護ソフトウェアの最新バージョン「EMC NetWorker 9」を発表した。

 今回の新製品群の位置づけについて、EMCジャパン マーケティング本部 部長の渡辺浩二氏は、「当社は、“TO The Cloud, FROM The Cloud, IN The Cloud”をキーワードに、データレイク層、プライマリデータ層、長期保管データ層のすべてのストレージ領域と、プライベート/パブリッククラウドとのシームレスな統合を実現するハイブリッドアプローチを進めている。今回発表した新製品群は、このハイブリッドアプローチにおいて長期保管データ層をカバーするものになる」と説明する。「また、今回の発表に合わせて、プライマリデータ層では、『EMC CloudArray』と『EMC VPLEX』のクラウド接続機能を拡張する。すでに、データレイク層については、11月16日に『EMC Isilon』とクラウドをつなぐ新機能『EMC CloudPools』をリリースしており、これらのソリューション展開によって、ハイブリッドアプローチを具現化するストレージおよびデータ保護ポートフォリオの全体像が整った」としている。

EMCのハイブリッドアプローチ
「EMC CloudBoost 2.0」のハイライト

 新製品の「EMC CloudBoost 2.0」は、プライベートクラウドやパブリッククラウドへの安全で効率的な自動データ転送を促進し、バックアップの長期保管を実現するソリューション。「Data Protection Suite」や「Data Domain」をはじめ、ユーザーの既存のデータ保護ソリューションを、柔軟で回復性に富むスケールアウトクラウドストレージへとシームレスに拡張することができる。今回の最新バージョンでは、全体的な性能、拡張性、管理性を強化している。

 EMCジャパン システムズエンジニアリング本部 プロダクトソリューション統括部 DPSスペシャリスト部 シニアマネージャーの神近孝之氏は、「最新バージョンは、重複排除や圧縮、WAN最適化によってパフォーマンスが2倍に向上しており、帯域幅とクラウド消費を削減できる。また、ローカルキャッシュ機能によって、クラウドへの高速バックアップおよびリカバリが可能となった。管理可能なデータ容量は最大6PBと従来の15倍に拡張。セキュリティ機能についても、ファイルのチャンク化と暗号化に対応している」と、「EMC CloudBoost 2.0」の具体的な機能強化ポイントを説明した。

EMCジャパン システムズエンジニアリング本部 プロダクトソリューション統括部 DPSスペシャリスト部 シニアマネージャーの神近孝之氏

 Data Domainオペレーティングシステムの最新バージョン「EMC Data Domain OS 5.7」では、容量管理・監視機能の強化、セキュアなマルチテナント機能の強化など、プライベート/ハイブリッドクラウド向けにデータ保護サービス(DPaaS: Data Protection as a Service)機能を拡張。あわせて、ハードウェアのアップデートとして、新たにDS60高密度シェルフを投入するとともに、4TBドライブのサポートおよびオンラインでのシェルフ移行機能を実装した。「『EMC Data Domain OS 5.7』を活用することで、自社のプライベートクラウドでデータ保護サービス(DPaaS)を提供している事業者は、大幅なTCO削減を図ることが可能になる。また、新しい高密度シェルフによって、フロアスペースを最大59%まで削減することができる」(神近氏)という。

 データ保護ソフトウェアの最新バージョン「EMC NetWorker 9」では、製品誕生25周年を迎えることを記念して、大型の機能強化を行っている。まず、データが置かれている場所に関係なくデータ保護のプロセスを自動化・簡素化する、新しいユニバーサルポリシーエンジンを提供。このポリシーエンジンによって、ユーザーはストレージの階層内で、保護データを移動するプロセスを、事前定義したポリシーに基づき自動化することが可能となる。例えば、迅速なアクセスが必要な保護データはローカルに格納し、動きのないコールドデータはコスト効率の良いクラウドターゲットへ系統立ててハンドオフすることができる。

 また最新バージョンでは、「EMC ProtectPoint」の統合管理や、Microsoft環境とLinux環境の両方におけるブロックレベルの保護機能を提供。さらに今回、NetWorkerサーバーをVMwareベースのアプライアンスとしてパッケージ化した「EMC NetWorker Virtual Edition」を用意しており、最適化された展開が可能なSoftware-Defined Data Center(SDDC)でのデータ保護も実現する。

 製品価格(税別)は、「CloudBoost 2.0」の仮想アプライアンスが75万円から、物理アプライアンスが375万円から。「EMC Data Domain OS 5.7」が新規アプライアンス購入の場合112万5000円から。「NetWorker 9」が1TBあたり118万7500円から。提供開始時期は、「CloudBoost 2.0」と「DDOS5.7」が12月8日から。「NetWorker 9」は、12月下旬以降となる予定。

 なお、新製品とあわせて発表されたプライマリデータ層におけるクラウド統合の強化では、「EMC CloudArray」の機能を拡張し、「EMC VMAX」とクラウド環境との接続を実現した。また、「EMC VPLEX」のクラウドティアリング機能により、「EMC VNX」がパブリッククラウドとプライベートクラウドの両方でデータ階層化(ティアリング)を実行できるようにしている(2016年第1四半期提供開始予定)。

唐沢 正和