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国内中堅中小企業IT市場予測、2015年はマイナス成長も2016年以降は回復~IDC Japan

 IDC Japan株式会社は15日、国内中堅中小企業IT市場の2015年~2019年の市場予測を発表した。2015年の国内中堅中小企業IT市場については、消費税増税による個人消費の減退、円安による原材料価格高騰などの影響によって業績が悪化する企業の増加、前年のPCの更新需要の反動などにより、市場規模は3兆7368億円で前年比1.0%減のマイナス成長を予測している。

国内中堅中小企業IT市場 前年比成長率予測:地域別、2014年~2019年(出典:IDC Japan)

 2015年の国内中堅中小企業IT市場は、業績が減速する企業が増えていることに加え、前年までのWindows XPサポート終了に伴うPC更新需要の反動もあり、IT支出は減少傾向となっている。

 一方で、中堅企業や一部の中小企業では堅調な業績を維持している企業もあり、こうした企業が既存システムの刷新、新規システム開発などのIT支出を積極的に推進。2016年以降には多くの中堅中小企業で業績が改善し、IT支出も回復を見込んでいる。また、既存システム刷新だけにとどまらず、モビリティ、クラウド、ビジネスアナリティクスを活用した戦略的な目的でのIT活用も増えるとしている。

 地域別で見た場合には、東京都を中心とした大都市圏とその他の地域で大きな差異が生じており、2015年には多くの地域でIT支出はマイナス成長を予測しているが、東京都ではプラス成長を見込んでいる。2016年以降は、関東地方(東京都を除く)、東京都、東海地方、近畿地方では堅調なIT支出を見込んでおり、情報システムへの展開も増えるが、その他の地域ではプラス成長に回復するものの低い成長率を予測しており、最低限のIT支出にとどまる企業が多いとみている。

 同様に、クラウド、モバイル、ソーシャル技術、ビッグデータといった「第3のプラットフォーム」ソリューションの利用状況においても各地域で差が生じている。IDC Japan ITスペンディング リサーチマネージャーの市村 仁氏は、「ITベンダーは、地域によってソリューション戦略を適合させる必要があるが、特に『第3のプラットフォーム』を活用して効率的かつ効果的な提供を図ることが重要である」と分析している。

三柳 英樹