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NTT、世界最高レベルの性能を持つSDNソフトスイッチ試作機を開発
(2013/12/9 18:25)
日本電信電話株式会社(以下、NTT)は9日、総務省の委託研究「ネットワーク仮想化技術の研究開発」において、世界最高性能を持つSDN(Software Defined Networking)対応ソフトウェアスイッチのプロトタイプを開発したと発表した。
このプロトタイプでは、すでにデータセンターなどへの導入が始まっているSDNを、通信事業者やインターネットといった広域ネットワークへ適用するための要素技術として、大規模フローテーブル設定時での高速パケット処理を可能とするSDN対応ソフトウェアスイッチを実装した。
従来のSDNソフトウェアスイッチは、フローテーブルを大規模にすると著しく速度低下することから、数千フローテーブルの設定で、数Gbpsのパケット処理を行える、といった性能が限界だった。このため、データセンター内などの限定された領域には適用できても、広域ネットワーク領域への適用は難しかったという。
しかし今回、Flexible parallel Flow processing Framework(fff)を採用することにより、高速なパケット処理を実現した。通常、ソフトウェアで処理性能を求めるとカーネル空間の実装になるが、最新カーネルへの追随が必要になるなど、維持管理が難しくなる。このため、ユーザー空間における実装を採用し、それでも十分な性能が得られるよう、処理の並列化を行った。
最初にフローを識別し、次に並列化されたパイプラインでパケットの処理を行うことで、高速化を実現。フローの識別においては、パケットの順序逆転が起きないように、各パイプラインへの振り分けを行い、マルチスレッド対応を可能にしている。
各パイプラインの中では、SDNで求められるドントケア(パケットの中の0,1の情報の並びのうち、0,1のどちらかだけではなくどちらでも良いもの)を許容し、複雑な検索条件にも対応可能なフローテーブル探索のために、新たなアルゴリズムを考案した。この検索アルゴリズムを採用することによって、大規模フローテーブルを設定した場合においても、著しい速度低下を起こさずに、高速な検索に対応している。
こうした対応により、10万行のフローテーブルを設定した場合でも、パケットヘッダの書き換えを行いながら、10Gbpsワイヤレートの転送速度(ロングパケット転送時)を達成できる処理性能を実現。NTTによれば、この性能は、SDNソフトウェアスイッチとして世界最高の性能レベルになるという。
なお今後は、さらに大規模のフローテーブルに対応することで、これまではデータセンター内にとどまっていたSDNソフトウェアスイッチを、広域ネットワークのエッジへの展開可能になるとしており、ネットワークの新サービスや新プロトコルの早期実現が期待されるとしている。