イントラ一括検索の「Google 検索アプライアンス」がバージョンアップ


 グーグル株式会社は16日、企業向けの社内Web・文書一括検索システム「Google 検索アプライアンス(GSA)」のバージョンアップについて、報道関係者向け説明会を開催した。新バージョン「7.0」では、一般ユーザー向けのGoogleWeb検索技術をフィードバックし、文書プレビュー機能などを追加した。

「Google 検索アプライアンス」の実体であるラックマウント型サーバー

 GSAは、イントラネットや社内データベースを構築している企業向けのサービス。ラックマウント型の専用アプライアンス(サーバー)を社内ネットワーク内に設置し、Webや文書のクローリングを行うことで、一般的なWeb検索と同様の検索性を実現する。

 日本国内でもすでに取り扱いを開始。価格は、インデックス化するドキュメント数や保守契約年数などに応じて変動する方式で、50万ドキュメント/年間1万5000ドルを最低単位としている。なお、バージョン7.0では、1台のGSA用アプライアンスで10億ページ分の処理が可能という。

 新たに搭載された機能として、文書のプレビュー機能がある。検索結果一覧画面のサムネイルに加え、フルスクリーンでも表示可能。Word、PowerPoint、PDFなどのファイルをHTMLページ内でプレビューできるため、ブラウザ以外のアプリを必要としない。

 また、「エキスパート検索」も追加された。社内の専門家を見つけ出し、直接コンタクトをとって助力を得たい場合などに活用できるという。このほか、検索結果を翻訳する機能や、ユーザーインターフェイスの改善も行われた。


プレビュー機能のイメージ。WordやPowerPointの中身も、ブラウザだけで確認できる社内の専門家を探すときに便利な「エキスパート検索」

 説明会には、米Googleのマシュー・アイクナー氏(グローバルエンタープライズ検索担当統括部長)がビデオ会議形式で出席した。アイクナー氏は、Googleが使命として掲げる言葉「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」を引き合いに出し、企業向け検索もそれを実現する要素だと説明する。

説明会には、米Googleのアイクナー氏(左)とバーウェイスト氏(中央)がビデオ会議で参加した

 さらにアイクナー氏は「ソフトバンクのSprint買収に見られるように、国際的なM&Aによる多国籍企業も増えている。その状況では、Googleが誇る検索や翻訳のサービスがますます求められていくのではないか」と、企業向け検索の重要性を強調。一方、質疑応答の際には「目に見えづらい部分ではあるが、全般的な検索精度も今回のバージョンアップで上がっている」と述べた。

 同じくビデオ会議で出席したブレント・バーウェイスト氏(エンタープライズ検索担当プロダクトマネージャー)は、GSAバージョン7.0の機能解説を行った。「今の企業は、SAPやSalesforce、Documentumなどさまざまなソースを検索する必要がある。GSAがあれば、まるでGoogleのWeb検索のように、1つのロケーションからすべての検索ができる」とアピールした。

 また、説明会冒頭では、グーグル株式会社エンタープライズ部門の藤井彰人氏(シニアプロダクトマーケティングマネージャー)が登壇。Web検索、Google マップなど、Googleがコンシューマー向けの分野で培った技術を企業でも利用できるようにするため、さまざまな取り組みを行っていることを説明した。

 近年は、コンシューマー向けの検索やクラウドサービスが急激に進化する一方、社内システムがそれに追いつけず旧来のまま、という傾向がある。藤井氏も「社内を検索するよりも、インターネットのほうが情報を探しやすいという事態も現実化している」とし、停滞しがちな“社内検索”を、GSAによって改善できるのではないかと提案した。


グーグル株式会社の藤井彰人氏Googleによる企業向け検索サービスの歴史
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