オープンソース統合監視ソフトを開発するZabbixが日本支社を設立
日本国内でのパートナー支援とサポートを強化
Zabbix社 代表取締役社長のアレクセイ・ウラジシェフ氏 |
エンタープライズ向けオープンソース統合監視ソフトウェア「Zabbix」を開発するZabbix SIA(本社・ラトビア共和国、以下、Zabbix社)は10月3日、日本国内での「Zabbix」のシェアの高まりを受け、国内でのパートナー支援とオフィシャルサポートを強化するため、日本支社としてZabbix Japan合同会社を10月1日に設立し、10月16日から営業開始すると発表した。
日本支社設立にあたり、Zabbix社 代表取締役社長のアレクセイ・ウラジシェフ氏は、「当社は、2005年4月にラトビア共和国のリガ市で設立され、『Zabbix』ソフトウェアの開発、サポートを手掛けている。世界各国に50社のパートナーが存在し、パートナーネットワークによってグローバル展開を進めている。日本での展開については、2007年6月からNTTコムテクノロジーとのビジネスリレーションシップを開始、2008年には、同社が日本でのパートナー第1号となった。現在では、国内のパートナーおよびリセラーは11社まで拡大している」と、これまでの経緯を説明。「今回、海外初の子会社として日本支社を設立するのは、日本でのニーズの高まりに対応し、エンドユーザーのより近くでサービスを提供することが大きな目的だ。また、国内パートナーとの連携も強化することで、日本語による、日本時間でのサービス提供をさらに充実させる」と、日本法人設立の狙いを述べた。
Zabbix Japan代表の寺島広大氏 |
Zabbix社の主力製品である「Zabbix」は、サーバー、ネットワーク、アプリケーションの監視を行うエンタープライズ向けオープンソース統合監視ソフト。主要ベンダーの高価な商用ツールにも匹敵する機能を備え、オープンソースの統合監視ソフトの中では世界で最も利用されているという。
「Zabbix」の特徴について、Zabbix Japan代表の寺島広大氏は、「『Zabbix』は、ITシステム全体の監視機能を始め、障害通知機能、グラフィカル表示機能、およびシステム運用をサポートする様々な機能を搭載している。とくに監視機能は、ネットワーク機器のSNMP監視、Zabbixエージェントによるサーバー監視、エージェントレスのping監視、ポート監視など豊富な機能を備え、マルチプラットフォームに対応。これによって各機器の死活情報や負荷情報などを収集し、監視マネージャーで一元管理する。障害が発生した場合には、メールやSMS、チャットプロトコルによって管理者へのリアルタイム通知を行う。また、障害発生時からの経過に応じて柔軟に通知を行うエスカレーション機能も提供する」としている。
「Zabbix」の動作環境 | 「Zabbix」の障害通知機能 |
日本支社の取り組みとしては、「日本国内での『Zabbix』の普及にともない、国内パートナー企業へのサポートをさらに強化する。また、日本人による日本時間の技術サポートおよび営業支援を提供する。そして、日本のマーケットニーズによりマッチしたサービスの提供を目指していく」(寺島氏)という。具体的には、パートナーシッププログラムを中心として、パートナー企業経由の技術サポートサービス(オフィシャルサポート)の提供、コンサルティング・導入サービス、トレーニング、開発スポンサーシップなどの技術支援を行う。また、パートナー企業の営業・マーケティング支援として、技術情報・販促資料を提供するほか、共同セミナーなどの開催も予定している。
今回、日本支社の設立にあわせて、パートナー企業と共同で「オフィシャルサポート割引キャンペーン」を10月16日から12月31日まで実施する。このキャンペーンでは、新規にZabbixオフィシャルサポートを購入する場合に、初年度のサポート価格を10%割引するという。
NTTコムテクノロジー Zabbix認定トレーナーの福島崇氏 | 駐日ラトビア大使のペーテリス・ヴァイヴァルス氏 |
なお、日本支社設立の発表会には、日本で唯一のプレミアムパートナーであるNTTコムテクノロジーのZabbix認定トレーナーである福島崇氏も同席。「当社は、『Zabbix』のトレーナーとして、認定トレーニングの講師やサポート業務を手掛けている。ここ数年で『Zabbix』の需要は急速に拡大しており、認定トレーナーの資格を取得したいというニーズも高まってきた。従来までは、ラトビア共和国まで行って研修を受けてもらう必要があったが、現在では、当社が認定トレーナーとなり、国内で公式のトレーニングを提供している。日本支社の設立を機に、さらに密接に連携して、国内での『Zabbix』の普及を推進していきたい」と、日本支社設立によるビジネス拡大に意欲を見せた。
また、Zabbix社の日本市場進出に対して、駐日ラトビア大使のペーテリス・ヴァイヴァルス氏は、「近年、多くのラトビア企業がアジア市場を重視するようになったが、Zabbix社のように成功している企業はそう多くはない。これだけレベルの高い企業が、ラトビア国内にあることを誇りに思う。また、同社の提供するサービスの98%が輸出であり、ラトビアの輸出企業にとっても非常によい成功例となっている。Zabbix社、そして日本支社の今後の成長とさらなる国際市場での発展に期待している」と述べた。