TIS、全農食品のDR環境を2カ月半で構築


 TIS株式会社は11日、全国農協食品株式会社(以下、全農食品)が事業継続を高めるために、2012年4月より稼働させたDR(ディザスタリカバリ)環境の構築を支援したと発表した。全農食品は、TISのDR/バックアップパッケージ「システム丸ごと災害対策パッケージ」を活用し、会計・販売管理、人事給与のシステムが稼働するサーバー10台のDR環境をわずか2カ月半で構築し、2012年4月より関東・関西圏の2地域でのシステムバックアップ体制を整えた。

 全農食品では、これまでもDR対策としてテープによるバックアップを毎日行っていたが、東日本大震災を契機に急ピッチで事業継続計画(BCP)の具体化を検討し、DR環境の構築を計画していた。

 DR環境構築に際しては、コストを抑えるためにデータのみを遠隔地にバックアップする方法がある。しかし、この手法では有事の際、システムを再構築しなければならず、システム停止時間が長期化してしまう。全農食品はこの時間を可能な限り短縮したかった。また、「データのバックアップを関東圏以外(大阪地区)へ移管する」「災害時の暫定利用として、関東圏以外のデータセンターに縮退稼働するバックアップ環境を構築する」という2段階で実施する方法を検討していた。

 これらを加味した結果、TISの「システム丸ごと災害対策パッケージ」なら2段階を一度に解決できる点などを評価し、導入を決定した。

 「システム丸ごと災害対策パッケージ」には、バックアップシステム、有事の稼働環境となる仮想サーバー、システムの保守運用体制まで、DR構築に必要なものがすべて含まれている。そのため、設計などに多くの時間を費やさずに、わずか2カ月半でシステム構築を実現。有事の際には、バックアップ先の環境からすぐに仮想サーバーを起動してバックアップシステムを稼働できるため、いざという時のシステム停止時間も大幅に短縮できるようになったという。

 また、今回のDR環境はTISのデータセンターに構築し、システム運用はJA全農グループの情報システム開発・運用を担う株式会社全農ビジネスサポートとTISが担当。このため、全農食品が自前でDR運用のための要員/体制を確保する必要がなく、維持管理の負荷軽減を実現しているとのこと。

 今後の展開としてTISでは「システム丸ごと災害対策パッケージ」を製造業やサービス業などを対象に販売し、TISのデータセンターサービスとの組み合わせで、企業の事業継続性を高める支援を行っていく。また、より手軽にファイルサーバーのDR環境を構築したい顧客に向けた新たなサービスの提供も計画中としている。

関連情報