日本HP、最新x86サーバー「ProLiant Gen8」にコストパフォーマンス重視モデルを追加
“自働サーバー”の管理性・可用性は削らず価格を3割減
HP ProLiant G8の新製品群 |
日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は26日、x86サーバー「HP ProLiant」の最新世代である「HP ProLiant Generation 8(Gen8)」のラインアップに、コストパフォーマンスを重視した「eシリーズ」4機種を追加すると発表した。また、パフォーマンスに優れた「pシリーズ」においても、AMDのOpteron 6200プロセッサを搭載した2機種を新たに提供する。
「ProLiant Gen8」は、サーバーシステムの運用にかかるユーザーの手間を軽減できるよう、サーバー自身にインテリジェントな機能を多数組み込んだ“自働サーバー”。内蔵管理システム「HP iLO」によるOSに依存しないエージェントレスの管理機能に加えて、導入・維持更新の作業時間を大幅に短縮する「HP Intelligent Provisioning」、主要コンポーネントに関するログを取得し続ける「Active Health System」、ハードウェア障害を検知して保守対応を迅速化するための「自動通報機能」、サーバーの情報を一元管理できるクラウドポータル「HP Insight Online」など、ユーザー側での管理工数・コストを最小化できる機能が多数盛り込まれている。
日本HPとしても、エンドユーザー向けの体験会やパートナー向けの勉強会などを積極的に開催し、多くのユーザーにこうした特徴を訴求しているとのことで、サーバーマーケティング統括本部 インダストリースタンダードサーバー製品本部の橘一徳本部長によれば、すでに1500名が「ProLiant Gen8」の価値を体感。参加者からの評価も上々という。
こうした結果を反映してか、新製品発表後1カ月間のオーダーも、前世代の「ProLiant Gen7」と比べて4.6倍、さらに1つ前の「同 Gen6」と比べても3.6倍と、非常に好調。「(自動通報機能を利用した)HP自動通報サービス、Insight Onlineなどのインフラが高く評価された」と、橘本部長も製品力・サービス力についての自信を示す。
ProLiant Gen8の設計思想(3月の製品発表会より) | 発売後の1カ月間を比べると、前世代の4.6倍の受注を獲得 |
そうした中で今回提供される「eシリーズ」は、すでに発表されている「pシリーズ」と比べて安価で、コストパフォーマンスに優れているのが特徴だ。しかし、ProLiant Gen8の“自働サーバー”としての付加価値をすべて持ち、冗長性と可用性も犠牲にせずに提供されるという点を日本HPは強調する。
日本HP サーバーマーケティング統括本部 インダストリースタンダードサーバー製品本部 製品企画部の岡野家和氏は、「以前は付加価値や冗長性、サポートなどを省いて低価格化を実現していたが、『eシリーズ』では『pシリーズ』と同等の冗長性・可用性・管理性を備え、さらにサポートも3年オンサイトの標準保証を維持した」という点を何度も強調。それでいて、2ソケット向けの低価格CPUであるXeon E5-2400シリーズを採用することなどにより、ほぼ同等の構成で価格を3割引き下げられたとした。
「eシリーズ」の冗長性・可用性・管理性は「pシリーズ」と同等 | 同等の構成で3割コストを引き下げたという |
ラインアップはすべて2ソケットで、タワー型の「HP ProLiant ML350e Gen8」、1Uラック型の「同 DL360e Gen8」、2Uラック型の「同 DL380e Gen8」、ブレード型の「同 BL420c Gen8」を用意する。価格はそれぞれ17万1150円から、21万6300円から、23万4150円から、37万2750円から。
一方で「ProLiant Gen8」としては初めて、AMDのOpteron搭載モデルもラインアップされた。Opteron 6200シリーズを採用したラック型サーバー「DL385p Gen2」、ブレードサーバー「BL465c Gen8」の2製品で、こちらも2ソケットのサーバーとなる。特徴は、最大16コアのCPUを搭載できる点で、日本HPでは仮想化プラットフォームに最適な製品と位置づけた。価格はそれぞれ、38万1150円、39万2700円。
新製品のラインアップ |
■従来弱かったセグメントへのチャレンジ
なお日本HPが、Xeon E5-2400シリーズを採用した「eシリーズ」を提供するのには、大きな理由がある。それは、多くのセグメントで国内シェア1位あるいは2位を獲得している同社が、単価1000ドル~2900ドルのセグメントでは4位にとどまっている(IDC調べ)ためだ。つまり、このセグメントをいかに強化するかが、国内シェア1位を目指す日本HPにとって重要なのである。
橘本部長は、現在のこの市場について、「以前からも製品力で負けているとは思わないが、国産のサーバーメーカーは、地方をカバーする販売、サポートの豊富なリソースを持っている」と述べ、同社が後れを取っている原因を分析。さらに、「当社では人的なリソースで伍(ご)してはいけないが、製品力、価格競争力、販売店とのパートナーシップなどで対応していきたい」と述べ、「ProLiant Gen8」の特徴を削らずに価格競争力を持たせた「eシリーズ」を提供する意味があるとした。
具体的な活用例としては、全国チェーン店の店舗サーバーなどが想定されているというが、こうした場合、各店舗には管理者はもちろんいないし、サーバー導入時期も導入後の保守期限もまちまちなため、きちんとした管理を行いづらい点が課題となっている。しかし、管理機能を削っていない「ProLiant Gen8」なら、「管理クラウドポータルであるInsight Onlineで各種項目を一元管理でき、本社の管理部門にとってはかなりの負担軽減になる」と岡野氏は説明する。
店舗サーバーにおける課題 | Insight Onlineへの情報集約により、全店舗サーバーの情報を一元管理できる |
一方では、大企業の部門などでグループウェアサーバーなどに活用されるようなケースも想定される。こちらのケースでは、性能や拡張性はそこそこでいい代わりに、コストがとにかく重視され、また基幹サーバーではないが止めたら業務への影響が大きいことから、管理性や冗長性も求められる。したがって、やはり「ProLiant Gen8」の特徴が生きてくるのだという。
「『ProLiant Gen8』のメインストリームサーバーとしては、すべてのモデルに管理性・冗長性を持たせたラインアップにしており、今回の『eシリーズ』によって、やっとそのラインアップが完成した。価格と機能のバランスを考えると、『eシリーズ』がもっともボリュームが出る製品。フラグシップとして引っ張っていくシリーズだと考えている」(橘本部長)。