日本IBM、SNS機能をワンパッケージに統合した企業内ポータルソリューション


 日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は5月14日、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)機能を統合した企業内ポータル・ソフトの新製品「IBM Intranet Experience Suite V8.0」を5月16日より提供開始すると発表した。

 新製品の発表にあたり、日本IBM 専務執行役員 ソフトウェア事業担当のヴィヴェック・マハジャン氏が、ソーシャル・ネットワークの市場動向について説明。「ここ数年でソーシャル・ネットワークの利用者は急増しており、特にfacebookのアクティブユーザー数は3年間で10倍にも増加している。その背景には、スマートフォンやタブレット型端末の急速な普及と、これにともなう個人による情報発信の加速が挙げられる。そして、企業においても、ビジネスにソーシャルを活用する企業が増加しつつある」という。

日本IBM 専務執行役員 ソフトウェア事業担当のヴィヴェック・マハジャン氏ソーシャル・ビジネスを実現するIBMの広範なソリューション

 新製品の狙いについてマハジャン氏は、「当社では、今年の重点領域の一つとしてソーシャル・ビジネスに力を注いでいる。今回の新製品もその一環となるもので、ソーシャル機能を含めて、当社の推奨する企業イントラネット向け機能をワンパッケージ化した企業内ポータルの統合ソリューションとなっている。また、5月4日には、企業外ポータルの統合ソリューション『IBM Customer Experience Suite』をリリースしており、これに新製品が加わることで企業内から企業外まで、あらゆる業務をソーシャル化できるソフトウェアのラインアップがそろうことになる。さらに、ソーシャル・ビジネスの実現に向けて、ソーシャルソフトウェアだけでなく、広範なソリューションを提供できるのも当社ならではの強み」としている。

「IBM Intranet Experience Suite V8.0」の概要

 「IBM Intranet Experience Suite V8.0」では、短い文章で近況を相互に伝えられる「つぶやきブログ」や、文書や表計算、プレゼンテーションなどのファイルを共有し、関係者全員で編集や確認ができる機能などのSNS機能を統合。ユーザーが所属部門や専門分野、参加しているプロジェクトなどをプロフィールに入力することで、必要な情報や業務上関連するユーザーを自動的に検索できる機能も備えており、業務の効率化やコミュニケーションの円滑化を実現する。

 また、分析ツールとの連携によって、単一画面でユーザーの利用を可視化することでき、最適なコンテンツ更新が可能となる。さらに、8000を超えるモバイルデバイスに対応しており、企業の多様なワークスタイルを実現する。対応言語も、英語や日本語のほか、中国語やタイ語など32言語に対応しており、グローバル展開を図る企業にも適している。

日本IBM 理事 ソフトウェア事業Lotus事業部長の三浦美穂氏

 日本IBM 理事 ソフトウェア事業Lotus事業部長の三浦美穂氏は、新製品を投入する背景について、「労働力の世代交代やデジタルワークプレイスの拡大、インターネットを使用したワークライフ・バランスの実現などを背景に、企業イントラネットは再構築が迫られているのが現状だ。そして、単一の情報発信から、社員参加型のコラボレーションツールへの進化が求められている。こうした市場ニーズに対応するため、今回、IBM社内のイントラネットで実際に活用し、導入効果が実証されたポータル、SNS、検索機能をワンパッケージ化した新たな統合ソリューションを提供することにした」と述べている。

 実際にIBMでは、SNS機能を活用することで、従来型のイントラネット利用時に比べて、社員の87%がスキルの向上、84%がより迅速に専門家にアクセス、74%が業務生産性の向上、60%が売上の増加、42%が顧客満足度の向上を実現したという。

 また、三浦氏は、グローバル市場での導入事例として、オムロンヨーロッパやベルリッツコーポレーションのケースを紹介し、個人や組織の生産性向上で大きな成果を挙げていることを強調した。

 さらに、従来まで個別に販売していたポータル機能やSNS、検索機能などをワンパッケージにしたことで料金も抑えており、例えばユーザー数が3000人の場合は個別購入の約45%の料金で使用できるという。これにより、社員同士が意見交換したり情報を共有できるソーシャル型イントラネット・サイトを従来より低コストで実現可能となる。

 最小構成の使用料金は、1936万9000円(税別)。数百名規模のユーザー数で活用でき、個別購入の半額となる。なお、ライセンスには、「WebSphere Portal Server」、「IBM Connections」(Profiles&Files機能)、「IBM Web Content Manager」、「IBM Forms」(IBM Forms Experience Builder含む)、「IBM Web Experience Factory Designer」(無制限ライセンス)、「IBM Content Analytics with Enterprise Search」(OmniFind EE:280PVU分)が含まれている。販売は、日本IBMおよび日本IBMのビジネス・パートナーが行い、ダウンロードによる提供も開始する。


関連情報
(唐沢 正和)
2012/5/15 06:00