日立がユニファイドストレージ「HUS100」を発売、ビッグデータ利活用を想定


ラインアップ一覧。ビッグデータに対して「One Platform for All Data」というビジョンを描く

 株式会社日立製作所(以下、日立)は25日、大量のデータ(ビッグデータ)をまとめて格納し、迅速な利活用を可能とするユニファイドストレージ「Hitachi Unified Storage 100(以下、HUS100)シリーズ」を発売した。併せて、重複排除機能によりバックアップデータ量を大幅に削減するバックアップ用ファイルストレージ「Hitachi Capacity Optimization(以下、HCO)」もリリースした。


ユニファイドストレージ「HUS100シリーズ」

HUS100シリーズの概要。ユニファイドストレージコンセプトを具現化する新ミッドレンジストレージ

 HUS100は、ビッグデータの迅速な利活用を実現するユニファイドストレージ。ファイル/ブロック双方のアクセスプロトコルに対応し、データ種類の異なるアプリケーションからのアクセスを1システムに集約できる。これにより、さまざまな業務システムで発生するデータの横断的な処理が可能となり、ビッグデータの利活用が迅速・効率化されるとする。

 ラインアップは「Hitachi Adaptable Modular Storage 2000(HAMS2000)シリーズ」の後継機となる「HUS110」「HUS130」「HUS150」の3種類。ブロック/ファイル双方のアクセスプロトコルに対応するほか、標準搭載される「Hitachi Device Manager」により、ブロック/ファイル双方のストレージ容量や利用状況の確認、割り当てを1つの画面から一元的に行えるのが特長。

 容量は従来モデル比2倍となる最大2.8PBまで拡張できる。ボリューム容量仮想化機能「Hitachi Dynamic Provisioning」により、ブロック/ファイル双方を共通のストレージプールを構成できるため、容量の効率化も可能。データ処理性能も従来モデル比3倍に強化したという。

 このほか、データのアクセス頻度に応じて自動的にSSDやSASなどの適切なストレージに割り当てるストレージ階層仮想化機能「Hitachi Dynamic Tiering」や、停電などの電源遮断時にもキャッシュメモリのデータを内蔵フラッシュメモリへ待避する「フラッシュバックアップ機能」も備える。

 後者の機能では、従来キャッシュメモリのデータバックアップの際に必要であった大容量バッテリの搭載を不要としたことで、コントローラ筐体のサイズが従来モデル比2分の1へと省スペース化も実現している。

ファイル/ブロック共用のストレージプールが構成できる各種プラットフォーム1つに束ねる管理ツールも特長

 価格は、最大120HDD搭載可能なデュアルコントローラ、iSCSI×4ポート(1Gbps)、キャッシュメモリ8GB、HDD容量約557GBからの「HUS110」が157万5000円から。最大264HDD搭載可能なデュアルコントローラ、ファイバチャネル×8ポート(8Gbps)、キャッシュメモリ16GB、HDD容量約557GBからの「HUS130」が422万6250円から。最大960HDD搭載可能なデュアルコントローラ、ファイバチャネル×8ポート(8Gbps)、キャッシュメモリ16GBから、HDD容量約557GBからの「HUS150」が1053万8850円から。


バックアップ用ファイルストレージ「HCO」

HCOの概要。重複排除率は1/20

 もう一方の新製品であるHCOは、バックアップデータの保存用ストレージに適したファイルストレージで、「HCO210」「HCO230」の2モデルを用意している。バックアップの対象となるデータ種類に応じて、適切な重複排除方式を自動で実行するのが特長。独自技術により同一内容のデータを高精度に検出・削除することで、「1/20という高い重複排除率を実現する」(同社)という。

 最大物理容量は384TB、最大論理容量は7.6PB。価格は、最大物理容量77TBの「HCO210」が1219万1550円から、同384TBの「HCO230」が1813万2450円から。

米HDS社との連携を強化

日立 情報・通信システム社 プラットフォーム部門COO兼ITプラットフォーム事業本部長の岩崎秀彦氏

 なお、今回の新製品を含み、ビッグデータを利活用して社会イノベーションの実現を目指すITプラットフォーム事業では、これまでの「販売推進管掌本部」「ストレージ管掌事業部」「サーバ管掌事業部」「ソフトウェア管掌事業部」を4月1日付けで「ITプラットフォーム事業部」として再編し、顧客との事業・サービスの協創を目指す。

 日立 情報・通信システム社 プラットフォーム部門COO兼ITプラットフォーム事業本部長の岩崎秀彦氏は「業種営業やパートナー営業により国内展開を図るほか、米国の日立データサービス社(HDS社)と連携してグローバル展開も図る。具体的には買収したブルーアーク社、ショウデン社による成長市場への展開を加速する。これに併せてHDS社も強化。ビッグデータ時代に向けた統合プラットフォーム事業を拡大・強化するほか、医療、通信、エネルギー分野などの成長市場へ積極的に展開していく」とし、2011年度見通しで44億ドルのストレージソリューション事業売上を2015年度に60億ドルまで引き上げたい考えを示した。

関連情報
(川島 弘之)
2012/4/25 13:37