IDC JapanがITサービス市場予測、2012年は4年ぶりのプラス成長に

前年比1.9%増の4兆9263億円


 IDC Japan株式会社は14日、国内ITサービス市場予測を発表した。2012年は前年比1.9%増の4年ぶりのプラス成長となり、市場規模は4兆9263億円になる見込み。また、2016年には5兆2864億円となり、2011年~2016年の年間平均成長率(CAGR)は1.8%と予測している。

 2011年の国内ITサービス市場規模は、前年比2.2%減の4兆8340億円。2009年から3年連続のマイナス成長であり、リーマンショックや東日本大震災による国内企業の収益悪化が、国内ITサービスの成長を3年間にわたって阻害してきた。

 2012年には前年比1.9%、4兆9263億円となると予測。欧州の債務問題や中国・インドなど新興国の成長鈍化といったネガティブ要素があるものの、過去3年間抑制/先送りされてきた基幹システムの更新などが再開し、4年ぶりのプラス成長へ回復するとしている。

 ただし成長率は2013年以降も1%台後半から2%程度の低いものにとどまり、2011年~2016年のCAGRも1.8%になると予測。その背景には、国内経済の低成長見通しや円高による国内企業の海外進出、それに伴うIT支出の海外シフトがあり、またクラウドに代表される低価格なサービスや技術の利用拡大があるという。

 IDC Japanでは「同市場の低成長傾向が続く中、ITサービスベンダーに求められているのは顧客のビジネス課題の解決だけでなく、顧客と共同でビジネスを開拓する姿勢。すなわち、課題解決の方法をベンダー同士で競うだけでなく、顧客とともに新規ビジネスを作り、自らのビジネス機会を拡大していくプロアクティブな姿勢が必要になっている」と指摘。そのために必要なものとして「顧客と中期的なビジョンを共有し、顧客のビジネスの方向性を理解すること、社外の知識・ノウハウの積極的な取り込みなどを通じて、大胆に戦略を策定・実践すること」としている。

国内ITサービス市場 支出額予測:2010年~2016年(出典:IDC Japan)
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