インフォアのERPとセールスフォースのCRM、Force.com上で融合

連携製品「InForce」を日本市場へ展開


常務執行役員 パートナー営業本部の市東慎太郎氏

 日本インフォア・グローバル・ソリューションズ株式会社(以下、インフォア)は9日、株式会社セールスフォース・ドットコム(以下、セールスフォース)と協業、「Force.com」上に構築されたアプリケーション群「InForce」を国内展開すると発表した。これに伴い、米salesforce.comは米Inforに投資し、Inforは日本を含むグローバルにおいて、「Salesforce Sales Cloud(営業支援・顧客管理)」「Salesforce Service Cloud(カスタマサービス支援)」のリセラーとして販売代理を行う。

 本協業により、インフォアはForce.com上でネイティブに動作するアプリケーション「InForce」を日本市場へ投入する。インフォア製ERPのデータをセールスフォース製CRMに統合するための連携製品で、「InForce Everywhere」「InForce Ordering Cloud」「InForce Marketing Cloud」の3つの機能が提供される。

 InForce Everywhereは、ERPとCRMを統合するための基盤となるミドルウェア。「統合に必要な項目が実装済みで、従来多大な工数を伴った統合インターフェイスの開発を不要にする。社内にある請求書・契約書・見積書・オーダー・出荷・請求書・支払い・返品などの顧客関連情報に対して全社レベルの360度ビューを実現する」(常務執行役員 パートナー営業本部の市東慎太郎氏)。また、クラウド型コラボレーションツール「Salesforce Chatter」を使って、ERP・CRMからひも付いた顧客とのより緊密なリレーションシップも実現する。

ERP製品のアダプタ「ION」を通じて、Sales Cloud、Service CloudにERPを連携させるのが今回のInForce

 InForce Ordering Cloudは、価格・見積管理・受注管理・提案管理など受注まわりに特化した製品連携を実現する。「例えば、受注生産を行っている製造業では、営業が間違ったオーダーを持ってきて、作る段になって初めて気がつくといったケースが大きな課題となっている。同ソリューションにより、Aというパーツに合うのBかCだけ、といった絞込みを見積もりの段階から可能。Salesforce Sales Cloud/Service Cloudのインターフェイスに統合されるため、受注関連のデータをシームレスに利用できる」(市東氏)という。

 InForce Marketing Cloudは、ERPとCRMにたまったデータを基にマーケティングを実施できる機能。受注情報などに絡めてキャンペーンも打てるため、より具体的なマーケティングが実施できる。

 市東氏は「製造業などのほとんどのお客さまは、ERPを導入すると、最終的にはCRMも欲しいといわれる。当社でもCRM製品を開発しているが、オンプレミス型のものしかなかった。今回の協業は、クラウドも含めた選択肢をお客さまに提供するという意味がある」と協業の意義を説明。加えて、インフォアがセールスフォースのリセラーになることも意味が大きいと語る。

 「これは非常に意味の大きなこと。当社がセールスフォースのサービスを販売できる、ということは当社のパートナーも販売できる。グローバルと比べると特有の日本市場では戦略を別途吟味する必要はあるが、パートナー協業をより協力に推進していく」(同氏)とのこと。

 なお、セールスフォースにはCRM以外のアプリケーションを手がける意向はなく、ERPに関しては今回のようなパートナーとの協業が基本戦略という。オンプレミスをクラウドと連携させる方法と、もう1つ、Force.comのネイティブアプリケーションとしてパートナーの製品を連携させる方法の2通りで推進するのだが、今回はその後者の例となる。

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