「ビジネスを支えるビジネステクノロジーを提供する企業へ」~シスコが2012年度の方針を発表


代表執行役員社長の平井康文氏

 「昨年に引き続いてIgnite Japanのキャッチフレーズをかかげ、日本を元気にしていく。その中で今年は、情報という観点だけでなく、ビジネスに貢献できるテクノロジーをどんどん紹介していきたい」--。シスコシステムズ合同会社(以下、シスコ)は2日、2012年度の事業戦略説明会を開催。その中で代表執行役員社長の平井康文氏は、同社の次年度の方針をこう話す。

 2010年8月に平井社長が就任し、2011年度は「Ignite Japan」のキャッチフレーズで事業を展開してきたシスコだが、その昨年度は、すべての分野で安定した成長を果たしたのだという。その理由を平井社長は、「従来のコア製品であるスイッチやルータといった製品の堅調な伸びの上に、“アーキテクチャ”(ソリューション)を中心とした新しいビジネスが拡大し、全体が成長した」と説明する。

 モバイル事業者では、スマートフォンの急増を受けたトラフィック増大に対応するために、さまざまなプロジェクトを行っているが、シスコでもこうしたプロジェクトを受注したほか、エンタープライズでも、「従来のLANスイッチの更改だけでなく、従来とは異なる立場で、お声がけいただけるようになった」(平井社長)とのこと。

 例として、「ボーダレスネットワーク」分野において、日産自動車が4万人の社員のセキュリティ確保のために、Webプロキシの刷新をシスコ製品で行ったほか、「データセンター/仮想化」分野では、大分県がVblockベースの自治体クラウドサービスを構築するなど、多くの案件を獲得した結果、シスコ日本法人は対前年で2けたの成長を遂げたという。


2011年度の成果
キャッチフレーズは、「Ignite Japan」を引き継ぐが、「インフォメーションテクノロジーからビジネステクノロジーへ」というメッセージを発信する

 では、2012年度についてはどうビジネスを拡大していくのか。これについては、Ignite Japanのキャッチフレーズを引き継いだ上で、「インフォメーションテクノロジーからビジネステクノロジーへ」というメッセージを発信していくという。これは、従来のルータやスイッチといった機器の販売から、「ビジネスを支える、あるいはドライブするソリューションの提供を推進する」(平井社長)という意味だそうで、メッセージとしては明確にされていなかったものの、好調だった2011年度のソリューション提供を、さらに促進する狙いがあるようだ。

 そしてそのために、プロジェクトの上流工程への取り組みを強めていく考えを示し、「コンサルタントがお客さまのプロジェクトを中立的な立場で支援したり、単なる製品やテクノロジーではなく、サービスやサポートを含めてエンドトゥエンドで提供したりしていく」とする。

 このために、シスコでは顧客企業の業種・業態に応じた部署と、製品やテクノロジーに特化した部署の2本立てで、それぞれの顧客に対してアプローチを進める考えで、「お客さまセグメント担当は、お客さまとの良好な関係を構築すると同時に、全体のオーケストレータとしての役割を担う。一方で、(製品や技術などを担当する)スペシャリストも市場へリーチしていく。このバランスを取ることで、全体がぼやけることなく、個々の製品・ソリューションの強さを市場にアピールできる」(平井社長)とした。

 「日本では、まだブランド認知が低く、当社はスイッチやルータの企業と思われている。日本でも、グローバルの方針を踏襲するが、もし日本の独自性を発揮するとするなら、よりマーケティングプログラムを活用したブランドの浸透に注力したい。また、日本のお客さまが一緒に仕事しようと思っていただける、お客さまの信頼に足る組織や人材にも注力していく」(平井社長)。


ビジネスに貢献できるテクノロジーを提供するにあたっては、製品カットでの提供ではなく、上流工程から顧客企業を支援できる体制を整えるビジネステクノロジーのソリューションとしては、パーベイシブビデオ、インテリジェントネットワーク、クラウドといったものを提供。これをつなぐ要素として、VDIにビデオなどのコミュニケーション機能を追加した「Cisco Virtualization Experience Infrastructure(VXI)」を用意するとしている
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