IBM、高エネルギー加速器研究機構の中央計算機システムの構築を受注


 日本IBMは9月26日、大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構より「KEK 中央計算機システム」の構築を受注したと発表した。受注額は25億6880万円で、2012年2月から稼働を開始する予定。

 「KEK 中央計算機システム」では、素粒子原子核実験、放射光実験、中性子実験、加速器開発、理論計算等のデータ解析を行う。KEKでは、大強度陽子加速器施設「J-PARC」や衝突型加速器「KEKB」での実験データをそれぞれのシステムで解析していたが、システム更改にあたり、これらのデータ解析システムを統合した「KEK 中央計算機システム」を構築するもの。

 「KEK 中央計算機システム」は、主に大規模な計算サーバー群とストレージ・システムから構成される。KEKでは、現在、既存の加速器「KEKB」を高度化した「SuperKEKB」の建設を進めており、従来以上に多数の機関が参加すると見込まれているという。このため計算サーバー群においては、国内外の共同研究機関とのリソース乗り入れを実現するグリッド環境およびクラウド環境の構築・運用を行い、データの高分散処理の実現を予定している。

 「KEK中央計算機システム」は、IBMの超高集積x86サーバー「IBM System x iDataPlex」を中心に、約600台のサーバーで構成。数PB(ペタバイト)の既存の実験データに加え、今後新たに約10 PBのデータ蓄積が見積られているため、ストレージ・システムでは、複数ノードから高速アクセスが可能なIBMの分散共有ファイルシステム「General Parallel File System (GPFS) 」を適用したディスク・システムを採用。階層型ストレージ管理ソフトウェア「High Performance Storage System(HPSS)」の両方を連携させることにより、GPFSの高速処理と、HPSSのテープへのデータ・マイグレーションの両方を実現する階層型ストレージ環境を構築するという。

 ディスク・システムにおいては約7 PB、テープ・システムでは約16 PBの容量を備え、データ容量の増大に対応する。

 また、省エネ対策の一環として、「KEK中央計算機システム」では、IBMの電力管理ソフトウェアを使うことにより、電力の“見える化”を実現。システムの電力消費量を一元的に監視できるほか、任意のサーバーに「しきい値」を設定して消費電力の上限を設ける仕組みも構築する。

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