ITシステム自動運用管理ソフトベンダーのKaseyaが日本市場に本格参入

9月にはモバイルデバイス管理モジュールを提供


 ITオートメーション(ITシステム自動運用管理)ソフトを手掛けるスイスKaseyaは4日、日本法人のKaseya Japan株式会社を設立し、日本市場に本格参入したと発表した。日本法人の設立は6月20日付け。あわせて、主力製品のクライアント用運用管理ソリューション「Kaseya」において、モバイルデバイスの管理を可能にする「KMDM」(Kaseyaモバイル・デバイス・マネジメント)モジュールを、9月中に提供開始することも発表した。


「Kaseya」ソリューションのデモ画面「Kaseya」ソリューションのシステム構成イメージ

 Kaseyaが主力製品として販売展開する「Kaseya」は、PCの遠隔操作/サポート、資産管理から、デスクトップポリシーマネジメント、ネットワークマネジメント、データバックアップ/復元、ウイルス対策、電源管理まで、システム管理に必要な機能をすべてオールインワンでそろえたクライアント用運用管理ソリューション。さまざまな管理業務を自動化することで、システム管理者の生産性を大幅に向上できる。また、Webベースのプラットフォームを採用しており、統合された管理コンソールから、安全性を確保しながら、複数拠点に導入されている各種端末を容易に集中管理することが可能となっている。


Kaseya エグゼクティブ・バイスプレジデント兼北東アジア担当ゼネラル・マネージャーのジョン・ファーギス氏「Kaseya」のフレームワーク

 日本市場への本格参入にあたって、Kaseya エグゼクティブ・バイスプレジデント兼北東アジア担当ゼネラル・マネージャーのジョン・ファーギス氏が、同社の事業概況を説明した。

 「当社は2000年にスイス・ローザンヌで設立し、現在では、従業員数は430人を超え、世界に1万2000以上の顧客をもち、1300万以上の端末を管理している。事業は北米を中心にグローバル展開しており、特に、オーストラリアやニュージーランド、イギリス、南アフリカなど英語圏において急速に事業を拡大し、27か国に30以上の拠点を擁している」という。

 「その中で、約2年前に『Kaseya』のメジャーアップグレードを行った際に、ダブルバイトへの対応を実施。これを機に、アジア地域での事業展開を進めてきた。最初は香港に事務所を構え、その後、北京とソウルにオフィスを開設している。そして今年6月、日本支社の設立に至った」と、日本支社設立まで経緯を述べた。

 ファーギス氏は、「当社の目指すビジョンはとてもシンプル。ITシステムの運用を自動化するサービスを提供していくことである。現在、企業のほとんどは、さまざまなベンダーのソリューションをバラバラに導入しており、非効率な運用管理が行われているのが実情。これらのソリューションを統合化し、1つのマシンから運用管理を可能にするとともに、その自動化まで実現できることが『Kaseya』の大きな差別化ポイントになっている」と、同社の事業ビジョンと「Kaseya」ソリューションの強みをアピール。

 日本市場での事業拡大に向けては、「日本市場では、システム運用の自動化というコンセプトはまだそれほど認知されていない。それだけに、今まで以上にユニークな取り組みを行い、日本のニーズに最適化したソリューションを提供していく必要がある。ほかの地域と同様に日本市場でも成功できるという自信と、日本市場の独自性を学んでいくという謙虚さをあわせもって、新たな市場開拓に臨んでいきたい」との考えを示した。


Kaseya Japan社長の北原信之氏日本市場での販売チャネル

 Kaseya Japan社長の北原信之氏は、日本市場における事業展開について、「まずは、ITオートメーションおよびマネージドサービスに関するプロモーションを展開し、日本市場での認知度の向上を図る。そして、『Kaseya』ソリューションの導入効果を発揮しやすい、小売り、流通、医療、教育などの業種にフォーカスして、積極的に拡販活動を進めていく」と説明。

 「また、各業種に強みをもつSIおよびディストリビュータとのアライアンスを行うとともに、マネージド・サービス・プロバイダ(MSP)の発掘・育成にも取り組んでいく。特に、デモ環境やSEのリソースをもつサービスプロバイダを中心に、そのノウハウを活用して『Kaseya』ソリューションを自己完結で販売できるようにしていきたい」と、日本での販売チャネル拡大に意欲を見せた。

モバイルデバイスの管理が可能となる「KMDM」モジュール

 同社では、今回の日本市場への本格参入とあわせて、9月には「Kaseya」ソリューションにおいてモバイルデバイスの管理を可能にする新モジュール「KMDM」を提供開始する。「KMDM」では、iPhone/iPad、アンドロイド、ブラックベリー、ウィンドウズフォン7などのモバイルデバイスに対応し、資産管理やコンフィギュレーション、バックアップ/リストア、位置情報のトラッキング、紛失や盗難時の対処、アプリケーション・マネジメントなど多数の管理機能を提供するという。

 なお、「Kaseya」ソリューションは、顧客のニーズに合わせて、オンプレミス型とSaaS型を用意しているが、今回、日本市場での販売促進活動の一環として、SaaS版の無料トライアルキャンペーンを8月1日から10月31日まで実施する。同キャンペーンに応募した企業は、「Kaseya」SaaS版(5エージェントまで)を、アカウント開設後30日間無料で利用することができる。


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(唐沢 正和)
2011/8/5 06:00