1台のPCを最大20名で共有できる「HP MultiSeat Computing」新版

ユーザーごとのUSBデバイス利用も可能に


 日本HPは30日、1台のホストPCをUSB接続によって複数人のユーザーで共有できる「HP MultiSeat Computing」新版を発表した。

 HP MultiSeat Computingは、専用ホストPCに、コンパクトサイズのアクセスデバイスをUSB接続するだけで、マルチユーザー環境を実現する製品。「Windows MultiPoint Server」の技術を利用している。

構成要素
Windows MultiPoint Server 2011の概要

 新版では、ホストPC、アクセスデバイス、専用ディスプレイとHP MultiSeat Computingを構成するすべてのコンポーネントを強化した。

 ホストPCの新製品「HP MultiSeat MS6200 Desktop(以下、ms6200)」ではハードウェアを強化し、スペックの異なる「Essential」と「Extended」を用意。前者ではCore i5-2400・4GBメモリ・500GB HDDを、後者ではCore i7-2600・8GBメモリ・500GB HDDを搭載し、従来モデルのms6000から大幅なパフォーマンスアップを図った。

 OSに最新のWindows MultiPoint Server 2011を採用したのも特徴で、「Essential」と「Extended」ごとに、同ソフトのライセンスに沿った「Standard」と「Premium」のラインアップを展開。加えて、すでに所有するボリュームライセンスを利用できるFreeDOSモデルも提供する。

 Standardは「ドメイン参加不可、最大同時接続10台(+管理者1台)」、Premiumが「ドメイン参加可、最大同時接続20台(+管理者1台)」となる。アカデミックユーザーはPremiumのみ、一般顧客はStandard/Premiumの両方が選べる。前版では一般顧客はドメイン参加ができなかったため、Premiumも選択可能にしたことで、より用途の幅を広げた形。また、ハードウェア性能の向上に伴い、従来最大同時接続数10台だったのが、20台に増加している点も新製品の特徴となる。

 加えて、授業支援ソフト「HP Classroom Manager(ライトバージョン)」がプリインストールされる。

 Core i5搭載のms6200 Essentialの価格は、Standardが11万3400円、Premiumが14万4900円、Academic Premiumが10万3950円、FreeDOS版が8万1900円。Core i7搭載のms6200 Extendedの価格は、Standardが13万4400円、Premiumが16万5900円、Academic Premiumが12万4950円、FreeDOS版が10万2900円。

 アクセスデバイスの新製品「HP MultiSeat t150 Thin Client(以下、t150)」では、新たにUSBポート×2個を搭載した。従来はホストPCにしかUSBポートが存在せず、そこに挿したメディアは全ユーザーからアクセスができてしまった。今回からは、ユーザーが個々に利用するアクセスデバイスに搭載されたUSBポートと、Windows MultiPoint Server 2011の機能を活用することで、USBデバイスの個別利用が可能となっている。

 この新たなUSBポートを通じてアクセスデバイス同士を5台までデイジーチェイン(数珠つなぎ)することも可能。ケーブルの取り回しなどに自由度が増した。一方でアクセスデバイスの消費電力が増加することになるので、新たに「ACアダプタオプション」も追加している。

 各アクセスデバイスに個別IPアドレスを付与することも可能に。前版ではホストPCのIPアドレスを共有するため、動作しないアプリケーションが多々あったという。

 t150の価格は、MultiPoint Server 2011 CALありが1万3650円/台。

 専用ディスプレイの新製品としては、18.5型ワイド液晶モニター「HP Thin Client用TFTモニター LE1851wt(以下、LE1851wt)」を投入する。t150付属のブラケットを使用して背面にt150を背負うことが可能。付属品として標準のVGAケーブルに加え、モニターマウント用の短尺ケーブルも同梱した。また、付属電源ケーブルによってt150への電源供給がモニター側から行えるようになった。同製品を使えば、デイジーチェイン構成時にも、t150のACアダプタオプションは不要となる。

 LE1851wtの価格は1万9950円。

ms6200とt150LE1851wt

 なお、管理面では、Windows MultiPoint Server 2011の「MultiPoint Manager」で各ユーザー画面をサムネイル表示できるようになった。学校では先生が簡単に生徒の画面をモニタリングできるため、授業が進めやすくなるという。また、前版ではホストPCを1台1台個別に管理する必要があったが、複数のホストPCをまとめて管理できるようにもなっている。

利用例と通常のPCと比べたコスト削減効果
関連情報