日本IBM、「LotusLive」専用のデータセンターを国内に新設
コラボレーションサービスのクラウド展開を加速
理事 ソフトウェア事業 Lotus事業部長の三浦美穂氏 |
日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は21日、クラウド型の企業向けコラボレーションサービス「LotusLive」専用のデータセンターを日本国内に新設すると発表した。これにあわせて、同日にLotusソフトウェアの事業戦略についてプレス説明会を実施した。
同社では今年4月以降、Lotusソフトウェア事業を積極的に展開しており、従来型のコラボレーション分野では、4月15日にグループウェア製品「IBM Lotus Domino Express」の特別割引キャンペーンを発表。「Lotusお客様感謝祭」として、全国規模でテレマーケティングを実施し、大阪・東京・名古屋など全国各地でイベントを開催している。
5月19日には、ユニファイドコミュニケーション製品の新版「IBM Lotus Sametime 8.5.2」をリリース。東日本大震災後の在宅勤務ニーズに対応し、ブラウザベースのクライアントから音声とビデオの利用を可能としている。
また、新しいコラボレーション分野として「ソーシャルウェア」にも意欲的に取り組んでおり、企業向けソーシャル・ソフトウェアの新版「IBM Connections 3.0.1」を4月6日に発表した。
理事 ソフトウェア事業Lotus事業部長の三浦美穂氏は、「新版では、ソーシャルを企業でより有効に活用してもらうための機能を強化し、発売以来、多くの企業から好評を得ている。すでに、ソーシャルをビジネスに活用している国内企業も増えてきており、今年後半にかけて、ソーシャル・ビジネス化への提案をさらに強めていく」との考えを示した。
Lotusソフトウェアの事業領域 |
さらに、コラボレーション分野における新たなサービス形態として、同社が特に注力しているのが「クラウド」へのビジネス展開だ。「当社では、パブリッククラウドによる企業向けコラボレーションサービス群として『LotusLive』を提供しているが、5月18日にはバージョンを1.4にアップデートして機能強化するとともに、無償トライアルを30日間から60日間へと延長している。
そして今回、日本を中心にアジア地区の顧客に対するサービスのパフォーマンス向上を図るため、日本国内にLotusLive専用のデータセンターを開設する」(三浦氏)としている。
「LotusLive」は、IBMがパブリッククラウドを利用し、電子メール、コラボレーション(情報共有と共同作業)、Web画面共有(Web会議、Webセミナー)の3つサービスを提供するSaaS型サービス。特に、コラボレーションおよびWeb画面共有のサービスでは、社外のユーザーを「ゲスト」としてライセンス不要で招待できることや、既存のIT環境の変更を必要とせずWebベースですぐに利用できることが特徴となっている。
「LotusLive」の概要 |
この「LotusLive」向けに新設される国内データセンターは、米国以外では今回が初となるもの。三浦氏は、国内データセンターについて、「サービス開始時点で、数百万ユーザーまで対応できる処理能力を実装する。
そして、東京近郊のプライマリーセンターに加え、非常時のためのバックアップセンターを大阪近郊に開設する。サービス開始は9月下旬を予定しており、応答時間の短縮を求められるコラボレーション機能とWeb画面共有機能からサービス提供を行っていく」との計画を明らかにしている。
これにより、国内の「LotusLive」ユーザーにとっては、応答時間のさらなる短縮が期待できるとともに、法規制やセキュリティ、災害対策の観点から国外に出せないデータを保有している顧客も安心してクラウド環境を利用することが可能となる。
なお、「LotusLive」の利用料金は全世界で共通であるため、国内データセンターの利用にともなう追加料金は発生しないという。サービス提供開始の具体的な日付は、東京電力および東北電力管内における電力使用制限令を踏まえ、電力需給の状況などを考慮したうえで決定するとのこと。
また、同社では、国内データセンター開設の発表にあわせて、「LotusLive」のさらなる利用拡大を図るため、「IBM LotusLive 複数年契約割引キャンペーン」を本日より開始する。このキャンペーンは、今年12月9日までの期間限定で、「LotusLive」の2年分の料金で、3年分のサブスクリプション(利用権)を取得することができる。